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2025.04.15 08:00

ワークライフバランスはもう古い?「脳のリズム」に乗り仕事と私生活を統合する5つの戦略

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脳機能を最適化する「ワークライフインテグレーションの戦略」

脳の特性を踏まえ、仕事と生活をどう組み立てれば幸福感と生産性を両立できるのか。ここでは科学的に裏打ちされたいくつかの戦略を示す。

1. 自然なエネルギーピークに合わせる

深い集中を要するタスク(執筆、戦略立案、問題解決など)は、覚醒度が高い午前中の後半や夕方の早い時間帯に配置する。一方、メール処理や事務作業、会議などはエネルギーが落ちやすい午後の時間帯に回す。

2. ウルトラディアンリズム(90分単位)で働く

90分働き、15~20分休むサイクルを繰り返すと、認知の過負荷を防ぎながら集中を維持しやすい。休憩中は散歩やストレッチ、瞑想など、脳をリフレッシュする行動を行うと効果的だ。

3. 受動的休息ではなく「能動的回復」を活用する

休憩中にSNSを眺めたりテレビを見たりするのではなく、ヨガや日記、自然散策などの能動的な活動を取り入れるほうが、脳の回復に役立つ。受動的な画面視聴は、かえって精神的エネルギーを消耗する場合がある。

4. 明確に仕事とプライベートを切り替える

パソコンを閉じる、散歩に出る、音楽を演奏するなど、仕事から離れる時には儀式的な行動を取り、「仕事が終わった」と脳に知らせる。境界が曖昧だと脳が常にタスク処理モードにとどまり、ストレスが増大する。

5. 睡眠とストレス軽減の習慣を最優先する

質の高い睡眠を7~9時間確保し、深呼吸やマインドフルネス、自然環境で過ごす時間などを取り入れてストレスを緩和する。脳が十分に回復してこそ、最大限の認知能力を発揮できる。

仕事と生活の成功を再定義し、新たな前進を

「長く働くほど成果が上がる」という考え方は、脳科学の視点から必ずしも正しいわけではない。真の生産性は、脳のリズムに合わせて深い集中と意図的な休息を組み合わせることで得られる。現代の労働環境が多様化する中、企業や個人にとっては「成功とは何か」を再考する好機といえる。

ワークライフインテグレーションを推進し、柔軟なスケジュールやメンタルヘルスサポート、そして「休息はパフォーマンスのための手段」と位置づける企業ほど、創造性やイノベーション、人材定着率の向上が見込める。個人にとっては、脳の自然な機能を妨げるのではなく、支える形で仕事と暮らしをデザインすることが鍵となる。

仕事と生活を、脳のエネルギーやストレス、回復に関する科学に基づいて統合すれば、職業的な充実感と私生活の満足を両立できる。これからの働き方で求められるのはバランスではなく、脳を最大限に活かす「インテグレーション(統合)」なのだ。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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