職場で起こり得る最悪の事態のひとつは、「静かな解雇」の対象になることだ。想像してみてほしい。職場の誰かが、あなたとはもう関わりたくないと考えている。そして、面と向かってそう告げることはないが、次第にそこで働くことが耐えがたい状況へともっていき、あなたが自ら会社を辞めるよう仕向けるのだ。マネージャーがさりげない手を使って職場を不快な場へと変えてしまうため、あなたは静かに退職するしかなくなってしまう。
こうした「静かな解雇」は、想像以上によく起こっている。HRプラットフォーマーのJobSage (ジョブセージ)の調査によると、「誰かを静かに解雇したことがある」と認めたマネージャーはおよそ3分の1に上った。辞めてほしい従業員に何も告げず、ただ仕事量を減らしたり、昇進を阻んだり、昇給を引き延ばしたりして、退職を暗に促すわけだ。
例えば、あなたにはこうしたことが起きていないだろうか。同僚に比べ、任される仕事量が少ない。無意味な仕事ばかりで、行き詰まりを感じている。非現実的な仕事を不意に言いつけられるうえに、サポートも満足に得られず、にっちもさっちも行かなくなってしまう。マネージャーから細かなことで度を越した批判を受けたり、弱点を集中攻撃されたりして、自分の能力に疑いをもつようになっている。あるいは、大型プロジェクトや大事なチームのミーティングからのけ者にされている。
どれかひとつでも心当たりがあるなら、簡単に降参してはいけない。本稿では、静かな解雇に追い込まれそうになった場合に、状況を好転させる賢い3つのステップを紹介しよう。
1. 自分に起きている「すべてを記録する」
自分の身に起こっていることすべてを記録しておくと、時間やリソースを効率的に使い、自分のキャリアを守れる。
危険信号を察知したときに、見なかったふりをしてはいけない。まずは関連するメールのやりとりや会議のメモ、勤務評価など、あらゆるものを保存し始めよう。それらは別個のファイルにまとめ、バックアップ用のコピーも必ず取っておこう。
さらに、どのような出来事がいつあったのか、それについてどう思ったのかを日記に付けておくといい。例えば上司にマイクロマネジメントされたり、過度に否定的なフィードバックを言われたりし始めたのはいつか、時期と状況を書き留めておく。そのときの上司の口調やしぐさ、具体的な言葉を詳しく描写しておこう。
仕事量の増減や自分へのサポートぶり、納期の設定状況がどう変化したのかはもちろん、そうしたことが自分の成長機会をいかに妨げているのかについても書き記しておいた方がいい。
言うまでもないが、自分の実績を記録しておくのも忘れてはならない。クライアントからの好意的なフィードバックや受賞歴、完了したプロジェクト・取り組み、チームへの貢献などを裏付ける証拠も保存しておこう。チャレンジしたことと重要な節目の両方を記録しておけば、いざ必要になった場合に自分を守れる。