日本が米国に奇襲攻撃を仕かけたとき、ウォーレン・バフェットは当時10歳であり、アルカイダが民間航空機を使って米国を攻撃したときは71歳だった。米国はこれまで常に、自らの手で戦争を始めない国であった。征服を求めなかった。賠償を要求しなかった。正義が要求する以上の復讐をすることもなかった。
オマハにあるバークシャー・ハサウェイの質素な本社の静かな廊下で、バフェット自身が、無数の嵐の中で投資家を導いてきた冷静な態度で、最新の経済的な妨害行為についての考えを語った。94歳のバフェットは、歴史が繰り返されようとされていると認識できるだけの経済サイクルを見てきた。
関税は「ある程度の戦争行為」だとバフェットはCBSニュースのインタビューで説明している。「すぐに血を流すことはないかもしれないが、間違いなく報復を招く侵略行為だ」
ここでの知恵は目新しいものではないが、ウィル・ロジャーズが言ったように、「問題は、知らないことではなく、知らないことを知っていると思い込むことである」。そしてトランプ政権の多くが「知っていると思い込んでいる」ことは、関税が米国の利益を守るということだ。だが、歴史はそうでないことを強く示唆している。
バフェットは、米国企業を保護するために輸入関税を引き上げたが、貿易相手国の報復によってかえって世界恐慌を深刻化させた、1930年のスムート=ホーリー関税法に言及した。経済的な地獄への道は、政治的な意図で舗装されている。
世界で最も成功した投資家であるバフェットは、数十年かけてバークシャー・ハサウェイを、GEICO、BNSF鉄道、シーズ・キャンディーズのような米国の繁栄の屋台骨となる企業など、アメリカ例外主義によって繁栄するコングロマリットに育て上げた。
セオドア・ルーズベルト大統領が「穏やかに話し、大きな棒を持て」と言ったのは正しい。米国は世界最大の経済大国であり、基軸通貨の発行国であり、技術革新の原動力である大きな棒を持っている。しかし、穏やかに話すということは、その力を賢く使うということであり、敵にも味方にも棍棒のように振り回すことではない。
バフェットに言わせれば、関税は大声で不器用に話すようなものだ。関税は、強さよりもむしろ内にある不安の方を強調しているのだ。