多くのカップルは、愛があれば十分だと信じて結婚する。互いを深く愛していれば、ほかのことは自然にうまくいくと信じて結婚する。そう、愛は極めて重要だ。しかしそれが対立や失望、長期的な献身の難しさに対する盾になるわけではない。
実際、どれほど強い絆で結ばれた夫婦であっても、傷ついたり誤解したり、心が離れたりする瞬間はある。
うまくいっている結婚とそうでない結婚の違いは、「困難が存在しないこと」ではなく、厳しい真実を直視し、一緒に乗り越えていく意欲があるかどうかだ。結婚に関する現実にはたやすく受け入れられないものもあるが、それらを受け入れることがより深い絆、回復力、そして末永い幸せの鍵となる。
ここでは、最も受け入れがたい真実を2つ紹介しよう。それらはいったん受容すれば、愛だけでは決して達成できない強い絆が手に入る薬だ。
1. パートナーはあなたを補完するわけではない。それはパートナーの仕事ではない
パートナーというひとりの人間が、あなたのすべて、つまりあなたの親友でありチアリーダー、感情的なサポートや安らぎの唯一の源であるべきだ、という考えはロマンチックだ。しかし、感情的な欲求のすべてをひとりの人間が満たすことは、非現実的なだけでなく、あなたのウェルビーイングに害を及ぼす可能性がある。
学術誌『Social Psychological and Personality Science』に発表された2014年の研究では、複数の人間関係を通じて感情的な欲求を満たしている人、つまり異なる人に異なる種類のサポートを求めている人は、ひとりまたは少数の人に依存している人より、全体的なウェルビーイングが高いことがわかった。
ひとりの人に医師、セラピスト、ファイナンシャルアドバイザーというすべての役割を求めることはない。パートナーにあらゆる感情的な欲求を満たしてもらうことを期待すれば、結婚生活に緊張や失望、不満が生じる可能性がある。
幸福な結婚とは、互いに支え合いながらもそれぞれの自分らしさや感情的な自立が維持されている関係だ。そしてそれは微妙なバランスだ──あなたは配偶者のために存在し、配偶者はあなたのために存在するが、相手に対して自分の感情的な欲求をすべて満たすことを期待すべきではない。あらゆる問題を解決することや、人生におけるあらゆる役割を担うことも期待すべきではない。
こうして支え合うアプローチでは、感情的に依存しすぎることなく、互いの強みを生かした関係を築ける。
結婚生活において、健全に支え合う方法を紹介しよう。
・結婚相手とは別の友情や家族の絆も深める:異なる人間関係は、異なる感情的欲求を満たす。友人はストレス解消の助けになるかもしれないし、兄弟姉妹は率直な助言をくれるかもしれないし、メンターは知恵を授けてくれるかもしれない。多様なサポートシステムに助けてもらうことで、結婚生活から必要以上の感情的な負担を取り除くことができる。
・個人的な関心や目標をもち続ける:1つの関係にのめり込むと、停滞や共依存につながる恐れがある。趣味を楽しんだり、キャリアの目標達成を目指したり、別々の時間を過ごしたりすることで、結婚生活に新鮮な空気と視点をもたらすことができる。また、個人の成長は、魅力や称賛、相性の強化にもつながる。