ドローン(無人機)技術はウクライナでの戦争中に急速な進歩を遂げてきた。ほんの2カ月ほど前にわたしたちが報じたように、ウクライナはドローンに、発砲時の反動を打ち消す工夫を施して散弾銃(ショットガン)を装着するようにもなっている。現在、違ったタイプの散弾銃マウントをロシアが導入しており、こちらはよりシンプルで効率的なようだ。さらに重要なのは、この新型散弾銃キットは簡素な構造のために、急速に普及する可能性が高いことだ。
ロシアの考案した反動対策
散弾銃はほかのドローンを撃ち落とすのに便利だが、問題になるのが発砲時の反動だ。よく知られるように、散弾銃は大量の鉛弾を高速で発射するので強い反動が生じる。この反動は、脆く軽量なドローンでは制御するのが難しい。
ウクライナが考案した手法は、散弾銃の実包(カートリッジ、装弾)2発を前後に反対向きにセットし、同時に発射するというものだ。こうすると、反動は後方に発生するものと前方に発生するものとで相殺される。ロシアが編み出した方法はもっと単純で、実包が撃ち出されると、銃身に相当する筒状のパーツがドローンから切り離されるというものだ。
この新たな動向をX(旧ツイッター)で取り上げたOSINT(オープンソース・インテリジェンス)アナリストのRoyは、ガラス繊維で補強されたポリプロピレン製の筒がプラスチック製クリップでドローンに取り付けられ、そこから散弾銃用の12番(ゲージ)実包が発射されると説明している。クリップは当初、3Dプリンターで作製されたものと思われていたが、実際には水道管の固定などに使われるありふれた市販品だった。まさしく「ローテク」品である。
A Russian Mavic 3 with an attachment to carry two expendable PVC pipes loaded with 12 gauge shotgun cartridges.
— Roy🇨🇦 (@GrandpaRoy2) April 20, 2025
The pipes are held by printed clips so that they can slide out to dissipate recoil.
Firing is initiated by the bottom LED lights of the Mavic triggering photo sensors. https://t.co/zztAY6sXt0 pic.twitter.com/3fWTtdatQM
使用されている弾薬は標準的な散弾実包だが、小さな穴を開け、装薬の一部を取り除き、電気式の導火線を付けるという改造が施されている。これにより、機械的な撃発でなく電気信号で弾を撃ち出せる仕組みになっている。
多くのドローン用投下装置と同様に、この発射装置もドローンのLED信号灯を点灯させるだけで作動する。そのため、この簡易ショットガンは既存のどんなドローンにも簡単に取り付けることができる。それには、広く普及しているクワッドコプター(回転翼4つのドローン)で、ロシア兵の間でも人気の中国DJI製「Mavic(マビック)」シリーズも含まれる。