欧州

2025.04.01 10:00

ウクライナ軍の誘導滑空爆弾にロシアも電波妨害で対抗 補完の航法システムが鍵に

英フェアフォード空軍基地上空を飛行するウクライナ空軍のスホーイSu-27戦闘機。2018年7月13日撮影(VanderWolf Images / Shutterstock.com)

英フェアフォード空軍基地上空を飛行するウクライナ空軍のスホーイSu-27戦闘機。2018年7月13日撮影(VanderWolf Images / Shutterstock.com)

ウクライナ軍はジャマー(電波妨害装置)でロシア軍の衛星誘導弾の軌道を逸らすことで、ロシア軍がウクライナ軍に対してもっていた大きな優位性のひとつを大幅に鈍らせている。より規模の大きい空軍と、それにも増して規模の大きい滑空爆弾の在庫という優位性だ。

もっともジャミングはロシア軍も行っていて、ここへきてウクライナ軍の衛星誘導弾を軌道から逸らすようになっている。ウクライナのある軍事ブロガーは3月、ロシア軍が「新たな電子戦装備を配備した」と伝え、この装備は「実際に(ウクライナ軍の)攻撃を妨害し得る」と書いている

同じ軍事ブロガーは「GPS(全地球測位システム)で誘導される爆弾が機能しなくなるおそれある」とも言及している。しかしウクライナ軍は、爆弾が備える自己完結型の誘導システムを活用することで対処できるはずだ。

ロシア側のジャミングが、はたしてウクライナ側のジャミングほど広範で有効なのかは現時点で不明だ。ウクライナ軍はこれまで、ロシア側の通信をかき消せる良質のジャマーを迅速に投入し、電子戦ではおおむねロシア軍に対して優位を保ってきた。

とはいえ、ウクライナ軍がフランス製のAASMや米国製のGBU-39といった精密滑空爆弾でロシア軍の目標を100%確実には攻撃できなくなっているということが、ウクライナにとって良いニュースでないのは確かだ。

最近では、ウクライナ空軍のSu-27戦闘機が滑空爆弾を使ってロシア西部ベルゴロド州の橋を爆撃している。ベルゴロド州に対してはウクライナ軍部隊が小規模な侵入を仕掛けており、橋への空爆は国境付近のロシア軍部隊を孤立させる狙いとみられる。侵入作戦の成否は精確な航空支援にかかっているかもしれない。

慣性航法の出番

わざわざ言うまでもなく、戦争ではあらゆる手段に対抗手段があり、あらゆる対抗手段に対・対抗手段がある。精密爆撃の場合、主な対抗手段は衛星誘導を妨害できるジャミングだ。それへの主な対・対抗手段は、衛星に依存しないナビゲーション(航法)である。

次ページ > ジャミングへの対抗手段になる自立型航法システム

翻訳・編集=江戸伸禎

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