海王星の鮮やかなオーロラを、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を用いた観測で初めて画像に捉えることに天文学者チームが成功した。今回のJWSTのデータと、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)の観測データを組み合わせて作成した最新画像が公開された。
太陽から最も遠い惑星の海王星は、大気中にメタンが含まれるために青っぽく見える巨大氷惑星で、複雑な磁場を持っている。
海王星のオーロラを捉えた観測史上初の今回の画像は、この磁場の存在をあらわにしている。太陽から発せられる太陽風の荷電粒子が惑星や衛星の磁場に捕捉され、上層大気中の原子や分子にエネルギーを与えて励起する。このエネルギーが結果的に光子として放出され、オーロラが発生する。
海王星ではどのようにオーロラができるか
惑星の自転軸と磁場の軸(磁軸)がほぼ一致する場合は、両極に惑星の磁場が収束するため、このプロセスでは通常、惑星の両極の周囲でオーロラが発生する。だが、海王星では状況が異なる。太陽から非常に遠い極寒の世界であるだけでなく、不規則な磁場を持っている。NASAによると、その理由は、磁軸が自転軸から約47度傾いているからだ。このように自転軸からずれているため、磁場は約16時間かかる1回の自転の間に大きく変化する。今回の海王星の画像で、明るい青緑色のオーロラが両極の周りではなく、まばらに散在しているのはそのためだ。
オーロラの画像データは、JWSTに搭載された極めて高感度の近赤外線分光器NIRSpecを用いて取得した。このJWSTのデータと、ハッブル宇宙望遠鏡の広視野カメラWFC3で撮影した可視光画像を合成して、海王星のオーロラを初めて直接的に裏づける画像を作成した。

海王星のオーロラの撮像方法
NIRSpecは、人の目に見える可視光より波長の長い電磁波である赤外線を捉える。赤外線は基本的に熱放射であるため、JWSTをマイナス223度以下の超低温で動作させて捕捉する。