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宇宙

2025.03.30 11:00

海王星のオーロラ、撮像に初成功 JWSTの赤外線観測

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線分光器(NIRSpec)による海王星の観測データとハッブル宇宙望遠鏡の色彩強調画像を合成して作成した最新画像。青緑色の斑紋はオーロラ活動を表す(NASA, ESA, CSA, STScI, Heidi Hammel (AURA), Henrik Melin (Northumbria University), Leigh Fletcher (University of Leicester), Stefanie Milam (NASA-GSFC))

天文学者が海王星のオーロラを捉えるのに苦労している理由は、海王星の上層大気の温度が低下しているからだと推論されている。JWSTによる画像データの取得時には、34年前にボイジャー2号の観測で得られた測定値から数百度の温度低下が検出された。大幅な温度低下により、オーロラの強度もはるかに減少したと思われるため、これが海王星のオーロラがこれほど長い間検出されなかった原因である可能性が高い。

太陽系で見られるオーロラ(惑星)

これで海王星も、オーロラ活動を示す太陽系天体の増え続けるリストに加えられる。太陽系では、大気がほとんどない水星を除くすべての惑星がオーロラ活動を示す。

土星では地球と異なり、太陽風の乱れに関係なく一定の強度を保つ、明るい紫外線オーロラが発生する。これは土星の磁場が、エネルギーを大気中に注入することなく、エネルギーを吸収・消散できることを示唆している。

木星は、おそらく太陽系で最も壮大なオーロラが形成されており、明るくて鮮やかな色とりどりのオーロラがみられる。火星は微弱な陽子オーロラが発生する。天王星では微弱な紫外線発光がみられる。

木星の極域のオーロラを捉えたハッブル宇宙望遠鏡の紫外線画像(John T. Clarke and Gilda E. Ballester (University of Michigan), John Trauger and Robin Evans (Jet Propulsion Laboratory), and NASA/ESA)
木星の極域のオーロラを捉えたハッブル宇宙望遠鏡の紫外線画像(John T. Clarke and Gilda E. Ballester (University of Michigan), John Trauger and Robin Evans (Jet Propulsion Laboratory), and NASA/ESA)

太陽系で見られるオーロラ(衛星)

オーロラの調査により、研究者は惑星の磁場の構造を特定したり、大気組成を調べたり、内部海の存在を推察したりすることが可能になる。内部海は木星の衛星の一部にあるとされている。

木星最大の衛星ガニメデにはオーロラオーバル(オーロラ発生領域)があり、自転する木星の強力な磁場の影響でこの位置が揺れ動くと推測されるにもかかわらず、ほぼ動かない状態を保っている。これは、表面下に導電層(塩水の海の可能性が高い)が存在することを示唆している。木星の他の衛星のエウロパやカリストにもオーロラがみられる。オーロラは、衛星が内部海を持つ可能性があるかどうかを科学者が特定する助けになっている。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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