映画

2025.03.29 17:00

映画『E.T.』で実際に使われた撮影用モデル、オークションに出品中

スティーブン・スピルバーグ監督とE.T.。ロサンゼルスのカルロ・ランバルディのスタジオにて。1982年4月撮影。監督はE.T.の姿について「親しみやすいものでなければならない」と要求した。(Mark Sennet/Getty Images)

スティーブン・スピルバーグ監督とE.T.。ロサンゼルスのカルロ・ランバルディのスタジオにて。1982年4月撮影。監督はE.T.の姿について「親しみやすいものでなければならない」と要求した。(Mark Sennet/Getty Images)

映画『E.T.』で、地球外生命体(E.T.)を登場させるため、誰かがこの愛らしい宇宙人を創造しなければならなかった。

この難題に取り組んだカルロ・ランバルディは、アカデミー視覚効果賞を受賞した特殊効果の魔術師であり、アニマトロニクス(動物や架空の生物を模したロボットを製作して撮影する技術)の先駆者として、地球に取り残されて少年やその家族と友情を育む宇宙人の生みの親となった。

そして現在、1982年に公開されたスティーブン・スピルバーグ監督の名作映画のためにランバルディが製作したE.T.の撮影用モデルが、あらたな「お家」を求めている。サザビーズのオークションに出品されており、予想落札価格は60万ドルから90万ドル(約9000万〜1億3500万円)。つまり、愛らしい宇宙人は決して安いとは言えない。

この撮影用モデルは、E.T.がクローゼットの中で同じように大きな目をした動物たちのぬいぐるみにまぎれて隠れていたところを発見される有名な場面でスクリーンに登場した。これは1930年代初頭から20世紀末に製作されたホラー、SF、ファンタジー映画の芸術性を称える「There Are Such Things」オークションに出品される数多いランバルディの遺品の一つである。ランバルディは2012年に86歳で死去した。

サザビーズが米国ニューヨークで開催するこのオークションは、3月21日から4月3日まで入札が行われている。これ以外に出品されるランバルディの創作物には、E.T.の表情を研究するために白い紙に色鉛筆とインクで描かれたスケッチや、1984年の映画『デューン/砂の惑星』で撮影に使われた発泡プラスチックとラテックス製のサンドワーム(砂虫)2体、1993年の日本映画『REX 恐竜物語』に登場するティラノサウルス・レックスの赤ちゃんのアニマトロニクスモデルなどがある。『REX 恐竜物語』は、『ジュラシック・パーク』と『E.T.』の大ヒットを受けてアジア市場向けに製作された映画だ。

今回のオークションに出品されるE.T.の撮影用モデルは、高さ91.4cm×幅43.2cm×奥行き30.5cmというサイズで、金属製の台座に立っている。アルミニウム製のフレームと、ラテックス、発泡プラスチック、わら、アクリル絵の具、接着剤で作られている。サザビーズはその状態が「製作された年代や用途と一致する」と見なしている。2022年には撮影で使われたE.T.の機械式の骨格がオークションに出品され、256万ドル(約3億9000万円)で落札された

サザビーズのオークションに出品されている『E.T.』の撮影用モデル(スクリーンショット)
サザビーズのオークションに出品されている『E.T.』の撮影用モデル(スクリーンショット)
次ページ > スピルバーグ監督が抱いていた「E.T.のビジョン」とは?

翻訳=日下部博一

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