宇宙人は本当にいるのだろうか。天の川銀河(銀河系)には地球サイズの惑星が400億個ある可能性があるが、知的生命体はほぼゼロに近いほど稀な存在だと、進化学者の多くが考えている。ところが、この考えを覆す最新の研究論文が発表された。論文では、人類の進化は惑星の自然な過程に他ならず、他の地球類似惑星でも起きている可能性が高いとする説を提唱している。
学術誌Science Advancesに掲載された今回の論文の共同執筆者で、米ペンシルベニア州立大学教授(地球科学)のジェニファー・マカラディは「これは、生命史に関する考え方を大きく変えるものだ」として「複雑な生命の進化は、運よりはむしろ、生命とその周囲の環境との相互作用の寄与の方が大きいことを示唆しており、人類の起源と宇宙における居場所を理解するための探究において心躍る新たな研究を可能にするものだ」と述べている。
宇宙人と知的生命体:「難しい段階」説
人類のような知的生命体が出現したのは、地球の生命の進化史において極めて稀な出来事が重なったおかげだというのが、科学者の間で通説となっている。オーストラリアの理論物理学者ブランドン・カーターが1983年に開発したこの「難しい段階」モデルは、太陽類似の恒星の寿命が約90億年であるという事実に基づいている。それにもかかわらず、人類は46億年を経てようやく出現した。どうしてこれほど遅滞したのだろうか。今回改良を加えたカーターの説では、酸素発生型の光合成の出現を含む5つの実現可能性の低い段階を定義している。光合成の出現により、多細胞生物の発生のための十分な酸素が生成された。
2024年7月には、複雑な生命が地球に存在するが他の場所には存在しないことの主な理由は、地球のプレートテクトニクスにある可能性があると示唆する研究が発表されている。プレートの運動が気候を調整し、栄養素を再循環させ、生命に適した条件を維持しており、この地質学的過程が太陽系外惑星では極めて稀なため、地球が他に類を見ないほど生命存在に適した環境になっていると、研究は主張している。
宇宙人と知的生命体:自然な進化段階
ペンシルベニア州立大の天体物理学者と地球生物学者のチームが開発した今回の最新モデルは、地球の知的生命体の出現が、それほど難しいことでも、あり得ないことでもなかったと示唆している。複雑な生命を支えるのに十分な酸素が地球の大気中に出現したことについて、「難しい段階」説では、それを実現可能性の低い出来事と仮定している一方、今回の最新モデルでは、地球の自然な進化の一段階と位置づけている。
論文の筆頭執筆者で、独ミュンヘン・ルートヴィヒ・マクシミリアン大学博士課程修了研究者のダン・ミルズは「今回の研究で主張しているのは、知的生命体は思いがけない幸運が重ならなくても出現できる可能性があることだ」と指摘する。ミルズは、ペンシルベニア州立大の宇宙生物学研究所に学部生研究員として所属していた。「人類の進化は、地球の歴史の中で『早く』や『遅く』ではなく、条件が整ったタイミングで『予定どおりに』起きたのだ」と、ミルズは説明している。