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映画

2025.03.29 17:00

映画『E.T.』で実際に使われた撮影用モデル、オークションに出品中

スティーブン・スピルバーグ監督とE.T.。ロサンゼルスのカルロ・ランバルディのスタジオにて。1982年4月撮影。監督はE.T.の姿について「親しみやすいものでなければならない」と要求した。(Mark Sennet/Getty Images)

スティーブン・スピルバーグが抱いていた「E.T.のビジョン」

スピルバーグは、ランバルディと彼の生物創造の協力者たちに、E.T.のデザインについて明確な指示を与えた。それは「怪物(モンスター)であってはならない」ということだった。監督はE.T.が子どもたちにとって親しみやすく魅力的な姿であることがきわめて重要だと考えた。スピルバーグはまた、その想像上の生物が憂いに沈んだ瞳を持つことも望んだ。故郷の惑星を痛切に恋しく思っているためだ。

サザビーズのカタログに記載されているように、「私はカルロに、アルバート・アインシュタイン、アーネスト・ヘミングウェイ、カール・サンドバーグの写真を見せ、こう言ったことを覚えている」と、スピルバーグ監督は回想する。「E.T.の瞳を、これら3人の象徴的な人物のように、勝手気ままで、しわだらけで、それでいて哀しみを感じさせるものにできるだろうか?」。結局、ランバルディはE.T.の瞳に関して、これら3人ではなく、彼が飼っていた猫のキカから着想を得たという。

スピルバーグがE.T.のデザインを承認すると、ランバルディは複数の胴体と頭部を製作。それぞれが異なるアニマトロニクスの動きができるように設計されていた。ランバルディが製作したE.T.は、鼻にしわを寄せり、眉を寄せたり、細長い首を伸ばすなど、合計で150種類の動作が可能だった。

カルロ・ランバルディとE.T.。1982年5月20日撮影(Ben Martin/Getty Images)
カルロ・ランバルディとE.T.。1982年5月20日撮影(Ben Martin/Getty Images)

このイタリア出身のアーティストは、デニス・ミューレやケネス・F・スミスと共に『E.T.』で自身3度目となるアカデミー視覚効果賞を受賞した。ランバルディが携わった多くの映画作品の中には、1976年版『キングコング』がある。この映画のために身長が約12mある機械仕掛けの類人猿を製作したことで、ランバルディの名前は米国市場で知られるようになった。彼は他にも『エイリアン』(1979)、『未知との遭遇』(1977)などのスピルバーグ作品で特殊効果を担当している。

今回のオークションには全部で62点の品物が出品される。他に注目に値する出品物としては、1948年のホラーコメディ映画『凸凹フランケンシュタインの巻』でドラキュラ伯爵に扮したベラ・ルゴシが着用したマント、1939年公開の映画『オズの魔法使』で撮影に使用された衣装、SF映画『ブレードランナー』(1982年)や『トータル・リコール』(1990年)のコンセプト原案を描いたデザイン画などがある。

forbes.com 原文

翻訳=日下部博一

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