ニューヨーク在住の主婦リンダ・ナポリターノと、1997年出版の書籍『Witnessed: The True Story of the Brooklyn Bridge Abduction(目撃者:ブルックリン橋誘拐事件の真相』の著者バド・ホプキンス(故人)の遺族は28日、ネットフリックス、制作会社Top Hat Productions、作品制作に関与した複数の人物、作品に登場するホプキンスの亡き元妻キャロル・レイニー(故人)の遺族を相手取り、損害賠償と作品の配信停止を求める訴訟を起こした。
問題の作品では、レイニーを含む複数の登場人物がナポリターノの「宇宙人にさらわれた」との主張に異議を唱えている。予告編には「彼女はバドをだました」と語る匿名の人物が登場する。
訴状によると原告は、ネットフリックスが「別れた夫への復讐に燃えるアルコール依存症の元妻」にすぎないレイニーを「宇宙人騒動に懐疑的な専門家」として扱い、作品内で重要な役割を担わせて、ホプキンスとナポリターノに対する悪印象を植え付けるのを許したと主張している。
ナポリターノは作品について、レイニーとのインタビューが1回だけ使用され「誘拐の真相が最終的に提示される」とネットフリックス側から約束されたため、自分の体験を取り上げることに同意したが、9月の先行上映を見て衝撃を受けたと説明。作品はナポリターノを「論争と対立を目的とした悪役」に仕立て上げ、人格と人柄を中傷しており、「正直でまっとうな人としての評判を台無しにする」と訴えている。
ナポリターノはかねて、1989年11月30日に宇宙人に誘拐されてマンハッタン上空で空中浮遊させられ、UFO(未確認飛行物体)に収容されたと主張してきた。この主張を裏付ける十数人の目撃者が名乗りを上げ、女性が空中に浮き上がり、UFOに吸い込まれるのを見たと証言している。この事件はホプキンスの著書をはじめ、メディアで何度も取り上げられており、2022年にもドキュメンタリー作品が制作されている。
ネットフリックスの宣伝文句によれば、ドキュメンタリーシリーズ『マンハッタン宇宙人拉致事件』ではナポリターノの件について「果たしてそれは手の込んだ狂言か、それとも宇宙人が存在する証拠なのか」を検証するという。作品内では、ホプキンスがナポリターノの主張に含まれる「信用を失墜させる要素」に「耳を貸さなかった」ことにレイニーが長年不満を抱いていたことも明かされる。
予告編の中で、ナポリターノは「でも宇宙人は、望めば拉致できる」と語っている。
(forbes.com 原文)