欧州

2025.03.28 09:00

プーチンはウクライナの長距離ドローンを恐れている 米ロ電話会談で露呈

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ウクライナの防空能力が着実に向上する一方、ロシア側にはそうした兆しがない。ロシア当局はきまって、飛来したドローンはすべて撃墜したかのような報告をし、損害は「落下した破片」によるものだと主張する。しかし、炎上している製油所などの視覚証拠は、それが事実でないことを示している。

たとえばソーシャルメディアで3月13日に共有された動画には、リューティーがロシア南部サラトフ州の石油圧送施設の上空を低速で飛行し、そのまま施設に突っ込んでいく様子が映っている。対空砲火を浴びた形跡はない。

ロシア軍の戦術地対空ミサイルは飛来するドローンを撃墜可能だ。しかし今年1月、ロシア西部スモレンスクでパーンツィリ-S1防空車両がリューティーを撃墜したと言われていた迎撃戦闘では、実際にはミサイルが高層アパートに撃ち込まれていたようだ。

機動力のあるパーンツィリ-S1は前線での需要が大きいが、数が減ってきている。3月14日に投稿された動画には、パーンツィリ4両がウクライナ軍のFPV(一人称視点)自爆ドローンを被弾する様子がまとめられている。この損失により、ロシア軍の残存するパーンツィリは配置変えが必要になり、本国に配備されていたものが4両減ったかもしれない。

ロシアは国土が広大で、守るべき対象も多いため、防空網はすでに薄く引き伸ばされすぎている。首都モスクワも時々攻撃されることから、士気の維持のためにも防空システムを配置しておく必要がある。それもあって、製油所や石油貯蔵施設、石油圧送施設が無防備なままになっている。

3月13日には、ウクライナのドローンがロシア国内のS-300地対空ミサイルの保管基地を攻撃したと伝えられる。アナリストのマーセル・プリシタはこの攻撃について、石油施設に対する攻撃よりも重要かもしれないとの見方を示している。不足している防空ミサイルの損失はロシアの防空をさらに難しくするだろう。

痛いところをたたく

プーチンがウクライナの長距離ドローン攻撃を止めたがっていることは、プーチンにとってどこか泣きどころかを強く示唆している。これはウクライナの支援諸国にとって、長距離兵器の供給を増やしていくための手がかりになるはずだ。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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