日本の中枢を支える産業の多くが、もはや外国人労働者に頼らざるを得ない状況になっている。外国人労働者は人材紹介会社や求人広告などを利用して雇用するのが普通だが、日本人の新卒採用と同等の費用がかかることもある。それで、どれだけの活躍が期待できるのだろうか。
外国人人材のマッチングサービス「外国人採用の窓口」を運営するアルフォース・ワンは、外国人の採用業務に関わったことのある20代から60代100人を対象に、外国人従業員の採用コストに関する実態調査を行った。調査対象者の業種は、製造、情報通信、卸売・小売、建設、医療・福祉、学術研究、宿泊・飲食サービス、農林業など多岐にわたる。企業の規模も10人以下から500人以上と幅広い。

外国人労働者の雇用目的は、厚生労働省の『令和5年外国人雇用実態調査の概況』によれば、専門的技能が求められる金融、教育、医療などごく一部を除いて、ほぼすべての分野が労働力不足の補完となっていて、日本人と同等かそれ以上の活躍は期待されていない。

それでも、外国人1人を採用するのにかかった総費用は、50万円未満と50万円以上がほぼ半々の結果となった。ちなみに、就職みらい研究所の『就職白書2020』によれば、日本人の場合、新卒採用で平均93.6万円、中途採用で平均103.3万円ということだ。
この費用の差は、外国人労働者の採用方法によるものだ。どのように求人したかを尋ねると、もっとも多かったのが求人広告、求人サイトの利用だった。次が人材紹介会社、そしてハローワークや外国人登録センターなどの公的機関の順になっている。求人広告(求人サイト)と公的機関は50万円未満の場合が多く、人材紹介会社は100万円程度。外国人技能実習制度の監理団体や特定技能制度の登録支援機関は100万円を超えることがある。当然ながら、適切な技能を持つ人材ほど高いということだ。

肝心な効果だが、採用コストに見合う効果が得られたかを尋ねると、「効果があった」との回答は63パーセント。「どちらとも言えない」が36パーセントだった。微妙な数字だが、99パーセントはなんらかの効果はあったと解釈できる。

採用コストと効果との間に相関は見られず、高いお金を払ったから高い効果が得られるとは限らないということだ。目的とコストのバランスを考える必要がありそうだ。またアルフォース・ワンは、「ただ採用すればうまくいくものではない」と話す。外国人を採用する企業は、外国人労働者がしっかり働ける環境を整えることも重要だ。