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2025.03.28 08:00

全米の「孤独な経営者」を救うコミュニティ、年会費45万円の値打ち

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全米の小規模ビジネスの経営者たちが互いの悩みを共有し、混乱の中を生き抜く術を語り合う場所として人気を博しているのが、年間3000ドル(約45万円)の会費制で運営される「SMBコミュニティ」と呼ばれるプラットフォームだ。起業家のランド・ラーセンが立ち上げたこのコミュニティは、孤独な気分に陥りがちな経営者たちにグループセラピーのような場を提供している。

このコミュニティに参加可能なメンバーは、年間収益が100万ドル(約1億5000万円)以上のスモールビジネスの経営者に限定される。メンバーの多くは、30代から40代の野心的かつ家族思いの男性たちだ。

3月のあるグループ会議では、シカゴやオースティン、サウスカロライナなど、さまざまな場所に住む初対面の8人がログインした。進行役を務めるラーセンが最初に、「今日の気分を10段階で評価してもらえますか?」と尋ねると、ほとんどのメンバーが上位の数字を挙げたが、あるメンバーは最近、従業員の解雇に踏み切ったことを打ち明けた。

一瞬の沈黙の後、共感するコメントが相次いだ。その場にいた全員が、その辛さを知っていたからだった。その後は、話のテーマを変えて、仕事のモチベーションを維持する方法について話し合った。

こうした小さなやり取りは、彼らが抱えている問題を浮き彫りにする。小規模ビジネスの経営者たちは、孤独になりがちで、地域の商工会議所や同業者の会合では、同じ悩みを抱える仲間に出会うのが難しい。

米国の大手地銀、トゥルイスト銀行が実施した2024年の調査によると、同業者の助言を求めたことがある小規模ビジネスの経営者はわずか17%だった。さらに、会社の成長計画を会計士や弁護士などの専門家と共有している経営者は、全体の3分の1未満だった。つまり、小規模ビジネスの経営者の大半は、同業者や専門家のアドバイスを受けずに経営を続けているのが実情なのだ。

現在29歳のラーセンは、今から約2年前にSMBコミュニティを立ち上げて以来、自身でキャンピングカーを運転して全米各地を巡り、行く先々で経営者たちとのミートアップを開催している。合計1万6000キロメートル以上を走破した彼は、その過程で「スモールビジネスの経営者の強い味方」として知られるようになった。

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編集=上田裕資

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