「アートは難しい」「抽象画はよくわからない」と思うかもしれない。しかし、それは「どう見ればいいか」を知らないだけだ。この展覧会を訪れる際には、次の3つのポイントを意識してみてほしい。
・細部までじっくり観察する(何気ない色や形の変化を読み解く)
・「なぜこの色なのか?」と考えてみる(計画されたのか、偶然なのか?)
・作品の前に立ち、没入してみる(頭ではなく、体で感じる)
たとえすぐには意味がわからなくても、色や形に向き合うことで、自分の感覚や思考の癖に気づいたり、いつもと違う脳の使い方ができる。それだけでもアートに触れることは体験としては素晴らしいものだ。さらに、見方を少し変えてみるとビジネスにも応用できる「思考のトレーニング」に変わる。

なお、同じ会場では、もう一人のワシントン・カラースクールの重要作家であるサム・ギリアムの展覧会も同時開催中だ。
キャンバスを木枠から解放し、布のように吊るして空間に展開させる「ドレープ・ペインティング」や、和紙に色を染み込ませるウォーターカラー作品は、素材や構造そのものに問いを投げかける。ギリアムのアプローチもまた、固定観念にとらわれない柔軟な発想がいかに新たな価値を生むか、という点でビジネスにも通じるヒントを多く含んでいる。