20日に発売を控える新作ゲーム『アサシン クリード シャドウズ』のレビューが解禁され、本作に対するゲーム業界の評価が続々と発表されている。本記事の執筆時点で、批評サイト「メタクリティック」での平均スコア(メタスコア)はPlayStation 5版が82点、Xbox版が84点、PC版が77点となっている。
これは、まずまずのスコアなのか、あるいはかなり良いと言えるのだろうか? 注目度が高いタイトルであるとは言え、仏ゲーム開発大手Ubisoft(ユービーアイソフト)の大作ゲームとしては、おおむね想定の範囲内の結果ではないだろうか。同社の大作ソフトは通常、大コケはしない一方で、世間をあっと言わせてゲーム・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀ゲームソフト)の有力候補になることもない。参考までに、以下は『アサシン クリード』シリーズ歴代作品のメタスコア一覧だ(各タイトルのスコアは、最もレビューの多いプラットフォームのものを選んでいる)。
『アサシン クリード シャドウズ』……82
『アサシン クリード ミラージュ』……76
『アサシン クリード ヴァルハラ』……80
『アサシン クリード オデッセイ』……83
『アサシン クリード オリジンズ』……81
『アサシン クリード シンジケート』……76
『アサシン クリード ユニティ』……72
『アサシン クリード IV ブラック フラッグ』……88
『アサシン クリード III』……84
『アサシン クリード リベレーション』……89
『アサシン クリード ブラザーフッド』……89
『アサシン クリード II』……90
『アサシン クリード』……81
これを見ると、明らかなトレンドがうかがえる。10年余り前までのタイトルはスコアが高かったが、その後、作品のクオリティは低下し、『オリジンズ』からは少し持ち直した。ただ、ほとんどの作品のスコアは75~89の間だったため、『シャドウズ』の82はそこまで驚くべきものではない。それに、レビューでの高得点が必ずしも売り上げに直結するわけではない。『ヴァルハラ』はスコアが80だったが、シリーズ歴代ソフトで最大の成功を収めた。
Ubisoftは『ヴァルハラ』発売からの5年間で時価総額が77%下落する窮地に立たされており、同社が『シャドウズ』のヒットを必要としているのは明らかだ。ファンたちはシリーズ誕生当初から、侍や忍者の世界を舞台とした『アサクリ』を切望しており、それをついに実現させたのが本作となる。ただ、誰もがこの作品を待っていた間に、別のゲーム企業であるSucker Punchから『Ghost of Tsushima』という素晴らしい侍/忍者ゲームが発売されてしまった(同作のメタスコアは83だが、これは過小評価だ)。
『シャドウズ』は、ゲーム内の世界の規模が少なくとも『ヴァルハラ』よりは小さく、2人の主人公のどちらかをその都度選んでプレイするというスタイルもこれまでの作品とは大きく異なる。ただ、本作がふたを開けてみれば究極の『アサクリ』タイトルとして批評家から絶賛の嵐を呼ぶのではないかと期待していたプレイヤーがいたとすれば、どうやらその期待は外れ、(ファン念願の舞台設定が実現したことは別として)これまで通りの『アサクリ』ゲームに仕上がったようだ。Ubisoftにとって最終的に一番重要となるのは売り上げであり、それについては今後明らかになることだろう。