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2025.03.19 10:00

2025年は「ロボット元年」になる?

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人類は、1960年代初頭のアニメ『宇宙家族ジェットソン』に登場した家政婦ロボット「ロージー」の登場以来、知的なヒューマノイドロボットを夢見てきた。しかし、ロボットを日常生活に導入するのは遅々として進まず、困難を伴ってきた。あらゆる新技術の応用に共通するように、とりわけ消費者向けに実用化するには、技術を取り巻くエコシステム全体が進化しなければならない。

過去60年を振り返ると、半導体、センサー、無線インターフェース、油圧、電気モーター、位置情報ソリューション、ジャイロスコープ、加速度センサー、バッテリー技術など、複雑なロボットシステムを支える要素が大きく進歩してきた。その結果、製造業や倉庫、手術室さらには家庭においても、複雑なタスクをこなすロボットが登場するまでになった。そう、ロボット掃除機もれっきとしたロボットである。しかし、これらはいまだ真の意味で知的だったことはない。そのパズルの最後のピースとなるのが、推論に基づき、自律的に行動を起こせる能力を持つエージェント型AI(agentic AI)の出現だ。

(情報開示:筆者の会社であるTirias Research は、本記事で言及されているAMD、インテル、エヌビディア、NXP、クアルコムおよびその他の企業にコンサルティングを提供している)

生成AIは、既存のトレーニングデータに基づき最適な応答を考案する能力をもたらしたが、エージェント型AIは、単なるトレーニングデータだけでなく、現在の環境を示すセンサーデータなどあらゆる情報を踏まえて選択肢を検討する能力をもたらす。これが、ヒューマノイドロボットを含む知的ロボットの時代を切り開く最後のピースとなるかもしれない。

昨年台湾で開催された「COMPUTEX TAIPEI(台北国際コンピュータ見本市)」と、2025年初めに行われたCESで、エヌビディアのジェンスン・フアンは、人型ロボットをステージに登らせ、映画『アイアンマン』の象徴的な場面を再現した。彼はこれをAIの新たな段階「フィジカルAI」への移行と呼ぶが、その評価に異論は少ないだろう。

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翻訳=酒匂寛

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