企業向けに人工知能(AI)を活用したリサーチサービスを提供するBridgetown Research(ブリッジタウン・リサーチ)は2月26日、シリーズAラウンドで1900万ドル(約28億円)を調達したことを発表した。同社の創業者でCEOのハルシュ・サハイは、過去に勤めたコンサルタント会社マッキンゼーとハイテク大手のアマゾンでの経験に基づいて同社を設立した。
彼は、マッキンゼーではコンサルタントの戦略業務を指揮し、アマゾンでは機械学習チームを率いていた。サハイは、これらの2つの経験を融合し、新たな戦略サービスを企業に提供することを思い立った。
「一定の規模に達した企業は、ある日、自社の命運を左右する重要な決断を迫られる。そのためには、特定の重要なデータセットを構築して分析する必要がある」とサハイは話す。
しかし、中小企業にはサハイが以前勤めていたマッキンゼーなどの高額なコンサルティングファームを雇ったり、サハイがかつてアマゾンで監督していたような大掛かりな機械学習ツールを導入するための予算がない。
そこで、ブリッジタウンは、これらの機能を中小企業でも利用できる手頃な価格で提供しようとしている。「我々は、全ての企業が大きな決断を下すために必要なデータとインサイトにアクセスできるようにしたいと考えている」とサハイは言う。
同社は、3チームから成るAIエージェントによってそれを実現している。まず、第1チームが企業に代わって重要なデータを収集する。ブリッジタウンのAIエージェントは、独自のデータ・ソースを自動的に検索してミッション・クリティカルなデータを収集し、専門家への調査依頼を自動化することもできる。次に、第2チームがこれらのデータを処理し、意思決定に必要なアウトプットを抽出する。そして、第3チームが重要な決断を下す際に活用できるアドバイスを生成する。
企業がこのプラットフォームを利用するために支払うサブスクリプションフィーには、データ分析とレポート作成の費用が含まれている。ブリッジタウンが目指すのは、小規模な組織でも手が届く価格で、質の高い戦略的アドバイスを提供することだ。
「ユーザーは、重要なビジネス上の意思決定に必要な深さと幅を備えた、マッキンゼー式のレポートを得ることができる。レポートは一次データを体系的に分析し、我々独自のインサイトを抽出して作成している」とサハイは言う。
コスト削減よりも「成長」を支援
ブリッジタウンのプラットフォームは、買収に関する意思決定に特化している。同社のテクノロジーは、潜在的な買収対象の分析を自動化し、事業の現状と将来の目標を考慮した上で、買収に適しているかアドバイスする。