海外

2025.03.10 08:00

AIクラウド新興から「4人のビリオネア」誕生、IPO申請で判明

CoreWeaveの共同創業者兼CEOであるMichael Intrator(Photo by Bruno de Carvalho/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)

CoreWeaveの共同創業者兼CEOであるMichael Intrator(Photo by Bruno de Carvalho/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)

人工知能(AI)ブームに乗って急成長を遂げたクラウドコンピューティングのスタートアップCoreWeave(コアウィーブ)が3月3日、米国での新規株式公開(IPO)を申請した。フォーブスは、目論見書に記載された持ち株情報などに基づいて、同社の3人の共同創業者と1人の取締役がそれぞれビリオネアとなったと推定している。

CoreWeaveは、まだIPOの公募価格を設定していないが、同社の評価額は、昨年10月の非公開市場での株式売却にあたり約200億ドル(約2兆9700億円)とされていた。また、共同創業者ら4人は、2023年と2024年の非公開市場での株式売却で、それぞれが税引き前で1億5000万ドル(約222億円)以上を得ていた。

フォーブスは、これらの情報に基づき、CoreWeaveの共同創業者でCEOのマイケル・イントレーターの保有資産を31億ドル(約4600億円)と試算している。また、残りの2人の共同創業者の資産がそれぞれ20億ドル(約3000億円)と15億ドル(約2200億円)で、取締役の資産を12億ドル(約1800億円)と見積もっている。

ニュージャージー州リビングストンに拠点を置くCoreWeaveの顧客リストには、マイクロソフトやIBM、メタ、エヌビディアに加えて、Cohere(コーヒア)やMistral(ミストラル)などのAI企業が名を連ねている。同社は、AIブーム前の2017年からエヌビディアの高性能なGPUチップを大量に確保していたが、それはAI企業のためではなかった。その当時Atlantic Crypto(アトランティック・クリプト)という社名だった同社は、暗号資産のマイニングのためにGPUを購入していた。

その2年後に同社はCoreWeaveに社名を変えて、データセンターを構築し、自社のGPUサーバーを持たない企業にコンピューティングパワーを提供するビジネスモデルへと移行した。2022年にOpenAIがChatGPTを公開し、AI市場に火がつくと、CoreWeaveの主要顧客はAI企業へとシフトしていった。

GPUの需要が急増する中、同社の評価額は、2023年5月の約20億ドル(約3000億円)から2024年5月には190億ドル(約2兆8000億円)へと急上昇し、売上高も2023年の2億3000万ドル(約340億円)から2024年には19億2000万ドル(約2840億円)に増加した。しかし、それに伴い純損失も拡大し、2024年には前年比約50%増の8億6000万ドル(約1270億円)の赤字に達した。データセンターの構築には膨大なコストがかかるためだ。CoreWeaveは2024年末時点で32のデータセンターを運営し、25万台以上のGPUを稼働させている。

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編集=上田裕資

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