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国内

2025.03.11 14:30

世界を変える30社:次世代インパクトスタートアップ2025年版

イラストレーション=ブラチスラブ・ミレンコビッチ

高齢者の日常を豊かにして世界のモデルに

赤木円香|AgeWellJapan

年を重ねるとできないことが増え、前向きに生きるのが難しくなる──。

そんな声から、ポジティブに歳を重ねられる社会にしたいと、高齢者向けサービスを展開するのがAgeWellJapanだ。

健康維持や介護予防を目的とした保険外サービスの市場規模は年々増加しており、2025年に12.5兆円と予測されている(経済産業省調べ)。AgeWellJapanでは、シニアの日常生活に目を向け、20~30代の専門スタッフがユーザーの自宅を訪問し、一緒に買い物をしたり、スマートフォンの使い方を教えたりと、日常を豊かにするサービス「もっとメイト」を運営する。さらに、シニア接点数10万人を通じて得た知見や、自宅訪問時に録音した6000時間以上の対話データを活用し、法人や自治体とまちづくりなどの事業共創にも取り組む。

24年9月には、高齢者の本音や知的好奇心を引き出す「シニア支援人材」を育成する企業向け研修サービスを開始。シニア顧客を多く抱える大手企業など民間10社や3自治体がすでに採用しており、AgeWellJapanは現在、売り上げの9割をこうしたBtoBで稼ぎ出している。

代表取締役の赤木円香は「支援する側も、誰かを勇気づけたり、笑顔にしたりすることができて、自信につながっている」と話し、30年までに全国で3.7万人のシニア支援人材育成を目指す。「世界で最も高齢化が進んでいる国として、日本がシニアの新しい年の重ね方を社会実装し、海外のお手本になるようにしていきたい」と将来的な海外展開も見据える。


あかぎ・まどか◎1993年生まれ。慶應義塾大学卒業。2017年に味の素に入社、財務経理部にて決算および原価計算業務を担当。祖母の「長く生きすぎちゃってごめんね」の一言をきっかけに、20年にMIHARU(現AgeWellJapan)を創業、代表取締役を務める。


年間50万トン超の廃棄プラスチックを宝に変える

野崎 衛|レコテック

レコテックは「ごみを資源に変える」仕組みづくりに取り組むスタートアップだ。百貨店やアパレル店舗などで廃棄されるプラスチックを効率的に回収し、パートナー企業の工場でリサイクル材に加工した上でメーカーに販売する。特徴は独自開発のシステム「pool」によって、回収から再資源化に至るまでの“ごみの流通データ”を見える化していること。原料の発生場所や保管方法まで遡って追跡できるため、トレーサビリティを重視するメーカーが利用しやすい。廃棄物管理業務を自動化・効率化する機能もあり、ごみを出す事業者側の負担軽減にもつながる。

国内で廃棄されるプラスチックは年間で800万トン以上。再生プラスチックの需要が年々高まっており、クリーニング店などで使う洋服にかけるビニールの袋だけでも270億円の価値があるとされている。代表の野崎衛は、こうしたごみを貴重な資源にもなりうる「宝の山」であると考え、廃棄物処理機の代理店で勤務していた経験をもとにpoolの原型となるサービスを開発した。

現在は東京都全域にエリアを拡大し、玉川髙島屋ショッピングセンターなど大手商業施設を中心に約30拠点で導入が進む。豊田通商のように、poolを通じて再資源化されたプラスチックを梱包資材として定期採用する企業も出てきた。
 
今後2~3年で拠点数を500拠点にまで広げ、累計50万トン以上の資源を循環させる目標を掲げる。「普段の生活をしていればpoolを通じて物が循環され、見えないところで社会を支える、空気のような存在を目指したい」。


のざき・えい◎北欧の廃棄物処理設備の日本代理店にて営業責任者を務め、20年以上にわたり製造、物流、流通などあらゆる業界の廃棄物の課題に取り組んできた。2007年にレコテックを創業、20年12月から外部資金を調達し、スタートアップとして事業を展開する。


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編集=山本智之、川上みなみ|4P・5P 文= 川上みなみ(AgeWellJapan)、大崎 真澄(レコテック)、大久保 崇(Ms.Engineer / AiCAN)、写真=若原瑞昌

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