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2025.03.29 14:15

「最初はグー」の志村けん、5周忌に寄せて | グーを「2回目」に出すと勝率は?

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ザ・ドリフターズのメンバーである志村けん氏が2020年に亡くなって、今年の3月29日で5年が経過する。コロナ禍における氏の訃報は全ての国民に大きな衝撃を与えた。

志村氏の、コメディアンや俳優としての才能が群を抜いていたことは言うまでもない。ここでは氏の、もう一つの側面にスポットを当てたい。そう、「最初はグー」を普及させた第一人者である面だ。

今では世界中に広まっているじゃんけん。その起源をはっきりと特定することはできないが、現在の「グー、チョキ、パー」形式のじゃんけんは江戸時代中期から後期の日本で成立したとされている。そして「最初はグー」の掛け声の発祥にも諸説あり、元々は神楽坂の芸者がお座敷遊びでおこなっていたとも言われている。たしかなのは、志村氏がそれを「8時だョ!全員集合」コントに取り入れ、爆発的に広まった、という事実だ。

ありえる失敗は、必ず起こる——重要な場面でのじゃんけんほど、勝率が下がる

ところで、あなたはじゃんけんが強いだろうか? 筆者は非常に弱い。人生全体での勝率は、もしかしたら4割を切っているかもしれない。事実はどうであれ、そういう自負がある。これは勝手な推測だが、世の中の半数以上の人が「自分はじゃんけんが弱い」と思っているのではないだろうか。

「マーフィーの法則」というものがある。法則と名がついているが科学的なものではなく、実際には経験則とでも呼ぶべきジョーク群を意味する。たとえばこのような━━「新しいスマホの画面ほど、よく割れる」または「新しいシャツほど、すぐ破れる」。

こういう、「よりにもよって」な出来事に哀愁を込めた経験則を総称してマーフィーの法則という。「ありえる失敗は、必ず起こる」とまとめるのが最も適切かもしれない。そしてこの法則をじゃんけんに当て嵌めると、こうなるだろう━━「重要な場面でのじゃんけんほど、勝率が下がる」。

ただでさえ私たちはポジティブな事柄よりもネガティブな事柄を記憶してしまいがちな生き物だ(これを心理学では「ツァイガルニク効果」という)。筆者は単純に、じゃんけんで負けた場面ばかりを記憶しすぎているだけなのかもしれない。

一つ確かなのは、じゃんけんの勝敗は運否天賦にのみ左右されるわけではないということだ。じゃんけんの実力は、それこそ経験則と人間心理によって決まる部分が大きいのである。

じゃんけんは子どもだけのものではない。宴会の幹事を決めるとき、ちょっとした意見をまとめるときなどは大人でもじゃんけんをする機会がよくある。いくら些細な勝負事とはいえ、どうせなら気持ちよく勝っておきたい。

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文=松尾優人 編集=石井節子

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