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2025.03.29 14:15

「最初はグー」の志村けん、5周忌に寄せて | グーを「2回目」に出すと勝率は?

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「世界じゃんけん協会」が提唱するじゃんけん勝利法とは?

国際理解教育学会会員である稲葉茂勝氏が著わした『じゃんけん学』(今人舎)には「The World Rock Paper Scissors Society(世界じゃんけん協会、略称WRPS)」が公表している「じゃんけん勝利法」が記載されている。以下にそれらを少しだけ紹介しよう。

まず、何も考えていない相手にはパーを出すのが有効だ。これは複数の調査で、グーを出す人が最も多いという結果が弾き出されているからである。確かに筆者も、グーを出して負け続けていたおぼえがある。

一方でじゃんけんをマスターしている人は先のデータを熟知しているに違いない。そういった猛者を相手取る場合はチョキを出すのがベターだろう。熟練者がグーを出す可能性は低く、必然チョキかパーに選択肢が絞られる。こちらがチョキを出しておけば、少なくともあいこで済む。

先に出す手を宣言しておくのも効果的だ。たとえば「グーを出す」と宣言したとする。言われた相手はこう考えるだろう。「本当にグーを出すはずがない」と(悲しいかな、特に大人は、非常に疑り深い生き物だ)。そこで本当にグーを出してやれば裏をかくことができるというわけだ。

更なる盤外戦術に手を出すこともできる。口八丁で時間を制限し、相手を急がせるのだ。追い込まれた相手は、直前に勝ったものと同じ手を出す確率が上がるという。

このように、勝率を上げるために必要なのは、経験則と人間心理に基づいた積み重ねである。運が絡む以上、100%の確率で勝つことは不可能だが、それでも地道に勝利を模索することはできる。

実用面で「最初はグー」を考えると……

さて、こうした勝ち方を前提として、改めて志村けん氏が普及させた「最初はグー」について考えてみたい。

「最初はグー」は志村氏のスター性にのみ頼って広まったわけではない。そこには極めて実用的な側面もあるのだ。

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文=松尾優人 編集=石井節子

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