「東京一極集中の是正」を掲げた地方創生1.0から約10年。しかし、人口流出は止まらず、補助金頼みの“点の施策”が散発的に行われるだけで、持続可能な地域モデルは確立されなかった。
こうした反省を受け、2024年、石破政権のもとで「地方創生2.0」が本格始動。「東京一極集中の是正」ではなく、「人口減少を前提とした持続可能な地域づくり」へ方針転換を打ち出した。
振り返ると、地方創生1.0には以下3つのような構造的な課題があったと感じている。
1) 自治体の丸投げ構造
国は「何をやるかは自治体側で考えてください」というスタンスをとったが、多くの自治体には地域活性化のノウハウがなかった。その結果、多くの地域が外部のコンサルや事業者に頼らざるを得なくなった。
2) 補助金依存の“事業ありき”の発想
「まず補助金を取る。その枠内で何か事業をつくる。」結果として、補助金がなくなれば終わるプロジェクトが量産された。地域に根づく仕組みではなく、一時的なイベントや事業が中心になってしまった。
3) 都市部のコンサルが利益を吸い上げる構造
「地域活性化」という名のもと、多くの予算が都市部のコンサル会社に流れ、現場にノウハウや仕組みが残らないケースが続出した。結局、地域の自走力は育たなかった。
もちろん、一部には成功事例もあった。しかし、それは元々問題意識が高かった自治体が地方創生1.0を有効活用したという側面もあり、全体を俯瞰すると、持続可能な地域づくりには十分に結びつかず、補助金の終了とともに多くの事業が幕を閉じる結果となった。
地方創生2.0では、こうした問題点を率直に反省し、今回「基本的な考え方」のなかでは、
・「産官学金労言」など多様な主体による連携
・デジタル技術を活用した地域の課題解決
・地域が主体的に考え、行動を起こす仕組みづくり
・「若者・女性にも選ばれる地方(=楽しい地方)」の実現
・都市と地方の新たな結びつき・人の往来の円滑化
といった、より根本的な改革が打ち出されている。