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Tips

2025.03.06 10:15

「補助金が切れても止まらない地域」をつくる

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2) 地域が主体的に考え、行動する仕組みを生み出せる事

前述のように、地方創生1.0では「補助金ありき」で外部コンサルに依存し、事業が一時的なものに終わるケースが多かった。しかし、地方創生2.0では、地域自身が主体的に課題を設定し、解決策を実行できるようになることが求められている。

「つなげる30人」は、地域の中からリーダーを育成し、行政主導ではなく、地域全体が自走できる仕組みづくりを支援してきた。その結果、行政の力を借りず、完全に民間主体で立ち上げようとする地域も出てきている。例えば、小松や福島では、地元企業やNPOが中心となり、自治体の補助金や制度に頼らず、独自に「つなげる30人」の手法を導入する動きが始まっている。

一方で、自治体と連携しながら、段階的に地域の主体性を高めていくアプローチもある。例えば敦賀市では、行政予算を活用して外部コンサルの力を借りながらも、3年計画で地元にノウハウを移転し、自走を目指す形で取り組みを進めている。このように、自治体と外部支援を組み合わせながらも、最終的には地域が主体的に動ける体制を作ることが可能である。

3) 都市と地方の新たな結びつきを生み出し、人の流れをつくれる事

地方創生2.0では、単なる移住促進ではなく、「関係人口」の創出や「都市と地方の新たなつながり」を生み出すことが重視されている。しかし、こうした取り組みを単独の自治体や国が行うには限界がある。

一般社団法人つなげる30人は、「つなげる30人リーグ」などを通じて全国のプレイヤーたちをつなげ、新たな地域間連携のモデルを創出しようとしている。都市部の企業と地方のプレイヤーをマッチングし、単発のプロジェクトではなく、継続的な関わりが生まれる仕組みを構築することで、「都市と地方の新たな結びつき」を加速させている。

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4) 人を残す”仕組みを構築し、地域に持続的な変化を生み出せる事

地方創生に限らず、民間のプロジェクトでも年度ごとの予算で動き、補助金が切れたら終了してしまうケースが多い。しかし、地域が持続的に変化し続けるためには、「人が育ち、動き続ける仕組み」が不可欠だ。

「つなげる30人」は、一過性のプロジェクトではなく、毎年30人の新たなリーダーを地域から生み出す仕組みとして設計されている。特定の事業や補助金に依存するのではなく、人を育てることで「3月31日で終わらない関係性(=契約や取引に依存しない関係性)」を築き、地域に根づく変化を生み出している。

その鍵となるのが、「アルムナイネットワーク」の存在だ。これまでに参加した人々が、次の世代を支え、共に学びながら新たなプロジェクトを生み出す。アルムナイ同士が連携することで、事業化の際にも地域発の新たなビジネスが生まれやすくなり、自治体・企業・市民が継続的につながり続けることで、地域の活性化が連鎖的に広がっていく。

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文= 加生 健太朗

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