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Tips

2025.03.06 10:15

「補助金が切れても止まらない地域」をつくる

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2) 自治体は「予算の発想」を変え、柔軟な仕様書を作るべき

国が政策の方向性を示しても、上記の1)のような支援をしたとしても、自治体側が従来の発想のままでは、実効性のある取り組みは広がらない。地方創生2.0が本当に機能するためには、柔軟な発想で事業を設計することが求められる。

例えば、以下のような視点が重要となる。

・「短期的な成果」と「長期的な仕組みづくり」の両方を求める仕様書の設計
1年限りのイベントや単発プロジェクトではなく、地域の中に知見やネットワークが残る設計を求める。

・単年度で終わる事業ではなく、3年〜5年スパンで効果を測れる枠組みの構築
短期間で成果を出すことを優先するのではなく、継続的な取り組みを前提とした公募要件を設ける。

・「誰がやるか」ではなく、「どのように地域にノウハウを残すか」を考えた公募要件
外部の事業者に委託して終わるのではなく、地域のプレイヤーが自走できるような仕組みを評価する。
発想次第で、地方の未来は大きく変わる。「この地域の未来を担う人をどう生み出すか」を本気で考えることが、持続可能な地方創生のカギを握る。

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3) 民間は「ボランティアやCSRとして関わる」のではなく、「事業の一環として地域に関わる」発想転換を

地方創生2.0の成功には、国と自治体の政策設計だけでなく、民間企業の関わり方の変革も不可欠だ。これまでの「地域貢献=ボランティアやCSR」(あるいは行政との“お付き合い”、お金にならないコスト)という発想では、持続可能な地域づくりにはつながりにくい。
「地域で生まれた事業が、地域に利益をもたらし、それが新たな雇用や担い手を生む」——この循環が生まれなければ、地方創生2.0は一時的な施策に終わってしまう。

企業が“傍観者”ではなく、”主体者”として関与し、地域の価値を活かしたビジネスを創出していくことが重要である。そのためにも、企業側にとってのメリットを明確に打ち出し、地域との関わりを「社会貢献」ではなく「事業機会」として位置づける必要がある。

例えば、以下のような企業にとっての利点が考えられる。

・地域資源を活かした新たな事業モデルの開発(観光、食、地場産業 × テクノロジー)
・地域課題解決型ビジネスの創出(地方特有のニーズに応じた新サービスの展開)
・社員研修や人材育成の機会(地方の実践的なフィールドで、新規事業開発やリーダーシップ研修を実施)
・「地域に根付いた企業プレイヤー」の増加と、都市部企業とのネットワーク強化(地方発のイノベーション創出)
地域と関わることが、単なる「支援」ではなく、企業にとっても新たな成長機会となることを示すことが、民間企業の関わり方を変える鍵となる。

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文= 加生 健太朗

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