「決定的な揉めごとや浮気があったわけではない。怒鳴り合いがあったわけでもない。でもなぜかお互いの気持ちが離れていった」。多くのカップルは、そのように静かに破局を迎える。
別れの原因は必ずしも明白な裏切りや激しい口論とは限らない。 時には、些細な言動の積み重ねが壊滅的なダメージを招くこともある。些細なこととは、例えば冗談として放たれる嫌味なコメントや、憤りにつながる暗黙の期待などだ。
このような些細な言動が危険なのは、何年も気づかれないためだ。すぐに修羅場を引き起こすわけではないが、どちらかが気づく前に2人の関係の土台が少しずつ崩れていく。
放置するとカップルが最終的に破局に至る可能性がある、4つのパターンを紹介しよう。
1. 相手を密かに「攻撃」してしまう
何かがおかしいと感じているのに、パートナーは大丈夫だと主張しているという状況を想像してほしい。相手があなたに短い答えしか返さなかったり、目を合わせようとしなかったり。あるいはあなたが頼んだことを「忘れ」たり──。これらは受動的攻撃を示している。言葉にしない憤りが相手の胸の内で渦巻いており、2人の関係を静かに損なっている。
受動的攻撃は、相手に反感を持ちながらも直接的な対立を避けようとすることから生じる場合が多い。専門誌に2022年に掲載された研究では、受動的攻撃の言動は必ずしもあからさまに敵対的であるとは限らないが、胸の奥深くにある憤りや不満を覆い隠していることが多いことが示されている。
研究では、怒りを表に出すことが安全でもなければ容認されるわけでもない環境で育った人が不満を伝える間接的な方法をとるようになり、結果として受動的攻撃をするようになる可能性があると指摘している。受動的攻撃は以下のようなものだ。
・あなたを意図的に無視したり、感情面で距離を置いたりする
・辛辣なコメントや皮肉な褒め言葉をあなたに言う
・みんながいる場であなたをさりげなく仲間はずれにする
受動的攻撃を克服する鍵は、正直に話しても安全だと感じられる空間を作ることにある。まずは、不満が間接的に伝えられていることに気づく必要がある。そして不満が募る前に自分の気持ちを率直に伝えるよう心がける。以下、3つのアドバイスを紹介する。
・「家事をもっと平等に分担できたら嬉しいのだけど」などと、求めていることを直接伝えるようにする
・「私の提案が却下されたとき、傷ついた」などと、相手を非難することなく自分の感情を認める
・もしあなたが受動的攻撃を受けている側なら、「何かがおかしい。そのことについて話したいなら、聞くよ」 などと相手に率直になるよう促す
受動的攻撃のサイクルを断ち切ることは、完璧に意思疎通を図ることではなく、難しい話にも進んで応じる姿勢を見せることだ。互いが誠意と弱さを受け入れると、受動的攻撃は攻撃にならず、深く結ばれた関係が復活する。