サーバーなどを製造するスーパー・マイクロ・コンピューター(ティッカーシンボル:SMCI)の株価は、提出が遅れていた2024年3月期の年次報告書10-Kを、米国時間2月25日の期限当日に提出した。これ受け、同社株は翌日の市場前取引で20%以上急騰した。また、同社は2025年第1四半期と第2四半期の四半期報告書を併せて提出し、これにより、同社はナスダック取引所のルールへの準拠を果たし、上場廃止を免れた。この上場廃止に対する懸念は同社の株価の重荷になっていた。
同社の収益は堅調に成長を続けており、バリュエーションも妥当で、上記のガバナンスの問題も今後徐々に改善されていくだろう。
2024年、スーパー・マイクロの株価は大きく変動した。2024年初頭に114ドル超まで急騰した後、会計やコーポレート・ガバナンスに関する複数の懸念により、一時そこから80%以上暴落した。
決算報告が一段落し、AI向けサーバー市場も堅調に推移していることから、スーパー・マイクロ株の懸念は完全に払拭されたのだろうか? 確かに、同社の中核事業には力強い見通しがあるように見えるが、コーポレート・ガバナンスの実績が脆弱であることは、投資家にとってなお一考の余地があると考える。
ファンダメンタルズは回復傾向
同社は、2025年6月を期末とする2025年度の年間決算は良し悪しの内容になると予想しているが、来期にあたる2026年6月期の年間収益は、市場予想を大幅に上回る、約400億ドル(約5兆9800億円、2025年度比70%増)になるとの見通しを示した。
さらに、同社のCEOは、この業績見通しが保守的である可能性さえあるとも話している。エヌビディアは最新GPUのBlackwellの生産を拡大する予定であり、その結果、最新GPUに対応したスーパー・マイクロ製サーバーの需要が拡大する可能性がある。
同社はまた、直接液冷方式(DLC)サーバー分野での市場シェア獲得にも注力している。DLCサーバーは、電力を多く消費するAI向けサーバーの冷却に適しており、この技術は来年、新設されるデータセンターの30%以上で使用される見込みであり、これがAI向けサーバー分野でのスーパー・マイクロの存在感を高めるのに役立っている。
一方で、スーパー・マイクロはAI向けサーバーの価格をライバル企業よりも割安に設定し、市場シェアの獲得を狙っているようだが、これは同社の利益率にある程度の影響を及ぼしている。