エクスペディアの成長を支えているのは、特に米国市場における旅行需要の回復と、アジア太平洋地域を中心とした旅行予約の急増である。B2B(企業間取引)分野への戦略的進出は、現在では取引総額の27%を占めており、大きな貢献をしている。また、バケーションレンタルのオンラインマーケットプレイスを提供する子会社、Vrboと連携したサービス強化により、旅行予約市場での地位がさらに確立された。
さらに、エクスペディアは四半期配当を復活させ、0.40ドルの配当を支払うと発表したことが投資家に好感され、その株価を押し上げた。エクスペディアの2024年度第4四半期(Q4)決算は市場予想を上回り、大幅な増収増益となった。今後の業績見通しとして、同社は2025年度の取引総額と収益が4~6%成長し、EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)ベースの利益率が0.5ポイント改善するとの見通しを示している。
B2Bビジネスが成長を牽引
2024年度におけるエクスペディアの年間収益は前年度比7%増の137億ドル(約2兆800億円)に達し、取引総額も同7%増の1100億ドル(約16兆7000億円)に達した。特筆すべきは、B2Bビジネスによる収益が同21%増の41億ドル(約6200億円)に急増したことだ。企業との強力な提携や、ビジネス出張の需要増加がこの成長を牽引した。B2Cビジネスにおける収益は、93億ドル(約1兆4100億円)と小幅な伸びとなった。「Brand Expedia」セグメントにおける宿泊数は同9%増、宿泊収入は同7%増、航空券収入は同4%増となっている。希薄化後のEPS(1株あたりの純利益)は同69%増の8.95ドル、調整後のEPSは同25%増の12.11ドル。年間のEBITDAは同9%増の30億ドル(約4600億円)だった。
過去4年間におけるエクスペディア株のリターンは、非常に変動が大きい。同株の年間リターンは、2021年に36%、2022年にマイナス52%、2023年に73%、2024年に23%だった。
私たちは、2025年度におけるエクスペディアの収益が前年度比6%増の145億ドル(約2兆2000億円)に達し、GAAPベースのEPSは11.24ドルになると予想している。そのEPSに18.2倍のPER(株価収益率)を掛け合わせ、同社の目標株価を205ドルへと修正した。これは、米国時間2月14日現在の株価とほぼ同じ水準だ。
エクスペディアの株価は、世界的な旅行需要の継続的な強さと、B2BおよびB2Cビジネスの両方で利益率が改善していることに後押しされている。また、同社は、AIの統合を含む戦略的な技術投資と顧客ロイヤルティの強化にも引き続き注力中だ。加えて、同社による的を射た自社株買いや、会員プログラムの「One Key」が好調であることも、同社の株価を支えている。
(forbes.com原文)