
重要な背景情報
2024 YR4は、アポロ型小惑星(地球の公転軌道と交差する軌道を持つ地球接近小惑星)の1つで、公転周期は約4年だ。衝突確率の1.3%は小さいと思われるかもしれないが、この確率は天文学者が重大視するには十分すぎるレベルだ。天文学者が地球衝突事象の危険性を分類するのに用いる指標「トリノスケール」ではレベル3に格付けされている。トリノスケールは、危険性が無視できるほど小さい0から最大の10まで11段階の指標となっている。2024 YR4に関するさらに多くのデータがあれば、天文学者は2024 YR4の正確な軌道を詳細に把握できる。そうすれば、トリノスケールが下がり、安全と見なされるかもしれない。2024 YR4は2025年4月まで、地球から観測できる。その後、再び観測できるようになるのは2028年6月以降だ。大きさに関するデータをさらに取得するには、天文学者は深宇宙レーダー観測や熱赤外観測を実施したり、小惑星に接近可能な探査機から画像を撮影したりする必要があると、IAWNは示唆している。だが、2024 YR4は今後、地球との距離が離れすぎてレーダー観測を実施できない。観測が可能になるのは、地球衝突の恐れのある2032年になってからだ。
少なくとも次に観測が可能になる2028年まで衝突の可能性を排除できないため、IAWNとSMPAGは、起こり得る脅威を軽減するための計画を立てる必要がある可能性が高い。

小惑星アポフィス
小惑星99942アポフィスは直径が370mあることから、もし衝突した場合は都市を壊滅させる「シティーキラー」に分類され、大きさでは既知の小惑星全体の90%を上回る。2004年に発見された当初は潜在的な脅威と見なされていたアポフィスは、2029年、2036年か2068年に地球に衝突する確率が2.7%と考えられていた。NASAは2021年、軌道の精度を向上させた結果として、これらの衝突の危険性を排除したが、最近実施されたシミュレーションによって懸念の一部が再び浮上している。2029年4月13日、アポフィスは地球から3万1200km以内を通過する。これは静止衛星よりも地球に近く、このサイズの小惑星としては、知られている中で最も地球に接近する。天文学者は、現在の軌道では衝突は起こらないと予測しているが、小型の小惑星との衝突によって軌道が変わる可能性がわずかにあることが、シミュレーションで示唆されている。だが、アポフィスは昼間の空にあるため、2027年まで観測できない。
(forbes.com 原文)