銀河を内部から見る場合に包括的な理解を得るのが極めて難しいことを考えると、これは決して小さな功績ではない。想像できる限り最も大きい森林の全体像を、地上の小道から理解しようとするようなものなのだ。
だが、10年半にわたる科学的運用の中で、ガイアは約20億個の恒星やその他の天体を対象とする約3兆回の観測を実施した。その過程で、搭載する3種類の科学測定機器を用いて天体を観測し、天体の位置、距離、運動、光度変化、化学組成やその他多数の特性を記録してきたと、ESAは指摘している。
ガイアの多次元マッピング機能は、太陽と銀河系の太陽近傍領域との関係を極めて詳細に論じる助けになっていると、ESAのガイア担当プロジェクトサイエンティストのヨハネス・サールマンは、取材に応じた電子メールで語っている。サールマンによると、ガイアや他の探査で収集されたデータに基づく現在のモデルは、4本の渦状腕と太陽の近くに位置する5本目の腕(スパー)の存在を支持している。
また、黄色矮星である太陽は、もっと銀河系の中心寄りの場所で形成されたとする仮説を、ガイアは補強している。太陽は46億年の歴史にわたり、銀河系のペルセウス渦状腕と、いて渦状腕に挟まれた領域にある現在の位置まで、外向きに移動してきたと考えられている。
英サリー大学の天体物理学者ジェイソン・ハントは、取材に応じた電子メールで、これがなぜわかるのかというと、太陽の化学組成が現在の位置で誕生したと仮定して予測されるよりも「金属量(水素・ヘリウム以外の元素の割合)が大きい」からだと説明している。