
内向き螺旋
ハントによると、いて座矮小銀河は過去60億年の間にゆっくりと銀河系に合体しつつあり、銀河系に何度も「衝突」しながら螺旋を描いて銀河系の中心方向に落ち込んでいる。いて座矮小銀河は実際に観測されるレベルの擾乱を引き起こすのに必要と考えられるよりも「軽い」ため、状況の辻褄が完全に合うわけではないと、ハントは指摘した。次はどうなる?
サールマンによると、次は2026年末頃にガイアの4回目の観測データが公開される見通しだ。これは計画上のミッション期間のうちの5年半分のデータになる。公開データには、約20億個の恒星とその他の光源を対象とするガイアによる個別の測定値の全てと、太陽系外惑星のカタログが含まれる予定という。後継のミッションについては、どうだろうか。
ブラウンによると、ESAはガイアの赤外線版に相当するガイアNIR(Gaia Near Infra-Red)計画に取りかかっている。赤外線は銀河系円盤内にある星間物質の塵(固体微粒子)を透過するため、今よりはるかに多くの恒星の位置を測定したり、星形成と銀河系の動力学や構造を直接結び付けて考えたりすることが可能になるだろう。
さらにガイアNIRは、可視光波長域で銀河系の他の部分を観測することもできる。
ガイアNIRミッションは、ESAの宇宙科学計画「VOYAGE 2025」で主要な検討事項として掲げられており、ゴーサインが出されれば2040~2050年代に打ち上げられるだろうと、ブラウンは述べている。
ハントによると、後発のミッションで同じ測定を繰り返し行い、ガイアとガイアNIRの測定値を比較して組み合わせることにより、その間の数十年で恒星がどのくらいの距離を移動したかに関する極めて高精度の測定データが得られる。
まとめ
ガイアは、宇宙空間で機体の回転運動を正しく制御するために利用する窒素ガスが残り少なくなっているが、まだ動作可能であり、キャリブレーション(較正)処理を向上させるための一定期間の技術テストを行っている。それでもESAによれば、2013年12月に打ち上げられたガイアの窒素タンクは、まもなく空になる。ガイアは現在、太陽と地球の重力が均衡して重力的に安定な位置の1つであるラグランジュ点L2を周回する軌道上にあるが、数週間後には現在の軌道を離れ、地球の影響圏から遠く離れた最終的な太陽周回軌道に投入される予定だと、ESAは説明している。
サールマンによると、ガイアの電源が完全に落とされるのは3月27日の予定だ。
(forbes.com 原文)