これまでに発見された中で最大規模の1つであるこの巨大銀河は、約14億4000万光年の距離にあり、天の川銀河(銀河系)の32倍の大きさがあると考えられている。
巨大電波銀河「インカタゾ」
この巨大な天体は「巨大電波銀河(GRG)」に分類され、銀河間空間に数百万光年にわたって噴出した高温プラズマのジェットという特徴的な構造を持っている。このジェット構造は、銀河の中心にある超大質量ブラックホールがエネルギー源となっていると、科学者は考えている。英国王立天文学会の学会誌Monthly Notices of the Royal Astronomical Societyに掲載された論文の中で、研究チームはこのGRG(カタログ名:MGTC J100022.85+031520.4)を「インカタゾ(Inkathazo)」のニックネームで呼んでいる。アフリカのコーサ語やズールー語で「厄介事」を意味する言葉だ。

「インカタゾ」の物理
論文の筆頭執筆者で、南アフリカ・ケープタウン大学の修士課程学生のキャスリーン・チャールトンによると、このニックネームは「この銀河で起きていることの背景にある物理を理解するのが少し厄介」という事実を反映している。インカタゾは、南ア・北ケープ州にあるミーアキャット国立公園内に設置された64基の電波望遠鏡で構成されるミーアキャット(MeerKAT)干渉計を用いて発見された。電波の波長域で輝いているGRGは、電波望遠鏡でしか見つけることができない。
ミーアキャットのような電波望遠鏡の感度の向上に伴い、GRGの発見例がますます増えている。チャールトンは「GRGに関する研究は非常に急速に進展しているので、ついていくのが大変になっている」として「信じられないほどワクワクする!」と話した。