宇宙

2025.01.29 11:00

銀河系の32倍の「巨大電波銀河」、南アの電波望遠鏡で発見

南アフリカ電波天文台(SARAO)が運用するミーアキャット電波干渉計が捉えた、新発見の巨大電波銀河「インカタゾ」。高温プラズマジェットの電波強度分布が赤~黄色で、すばる望遠鏡のHSCで撮影した可視光画像に重ねて表示されている(K.K.L Charlton (UCT), MeerKAT, HSC, CARTA, IDIA)

南アフリカ電波天文台(SARAO)が運用するミーアキャット(MeerKAT)電波干渉計の電波望遠鏡群(South African Radio Astronomy Observatory)

南アフリカ電波天文台(SARAO)が運用するミーアキャット(MeerKAT)電波干渉計の電波望遠鏡群(South African Radio Astronomy Observatory)

大半のGRGは、赤道より北に位置する電波望遠鏡により北天で発見されている一方、調査されている範囲が比較的少ない南天は、この種の巨大構造の宝の山であることが明らかになってきている。インカタゾは、満月5つ分程度の小さな空の領域で、2021年に発見された2つに続いて見つかった3つ目のGRGだ。

心躍る時代

ミーアキャットは間もなく、1平方キロメートル電波干渉計(SKA)の一部となる予定だ。SKAは、総工費22億ドル(約3400億円)の電波望遠鏡群の大陸間ネットワークで、南ア・北ケープ州のカルーに設置されるパラボラアンテナ197基と、豪州・西オーストラリア州の内陸部アウトバックにあるマーチソンのアンテナ13万1072基で構成される。これにより、2つの大陸にわたる全てのアンテナの集光面積の合計が1平方kmに及び、非常に微弱な電波信号の検出が可能になる見通しだ。
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2021年のGRG発見を主導した南ア・ケープタウン大学の研究者、ジャシンタ・デルヘイズは「電波天文学の心躍る時代に突入しつつある」として「ミーアキャットは、かつてないほど遠くの観測を可能にしていると同時に、SKAは、この境界をさらに遠くへと押し広げ、GRGのようなミステリアスな天体を取り巻く謎の一部の解明を可能にすると期待できる」と述べている。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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