Mawariの具体的な仕組みとしては、独自のライセンスソフトウェア「ガーディアンノード」を販売し、企業や個人がそれをインストールすることで、3Dコンテンツをグローバル規模で効率的に配信する分散型GPUネットワークを築くという。ブロックチェーンゆえ、従来の集中型ネットワークより信頼性と安全性も高い。既存のPCやサーバーが主な対象となるが、インターネットに接続するものはなんでもハブとなりうる。
欧米では、Heliumという先行プレイヤーが、「ホットスポット」を購入してエリアカバレッジを提供するユーザーにネイティブトークンを提供する仕組みを運用。T-Mobileとも提携し、5Gネットワークを拡張している。
Mawariも貢献への報酬としては独自のトークンを発行予定で、ネットワークの充実に伴いトークンの価値が上がる可能性も出てくる。この壮大な構想が支持され、24年9月にはAnfield LTD、Borderless Capital、1kxが主導する戦略的資金調達ラウンドで15.6億円を調達。11月にはKDDIが分散型インフラ事業のパートナーとなる基本合意締結を発表した。
「Web3のなかでもビットコインやNFTは投機的なニュアンスで利用されることが多かった。それに対してDePINは、インフラ構築による利便性の向上やトークンによる新しい経済圏の創出、テクノロジーの飛躍的な進歩、ビッグテック寡占からの脱却による富の分散など、よりフラットで皆がバランス良く共生できる社会を実現するという大義がある。それこそ社会システムをガラリとつくり変えるゲームチェンジャーになるでしょう」
ルイス・オスカー・ラミレス◎米国やシンガポールでのスタートアップ経験を経て、2017年にMawariを設立。空間コンピューティング時代のコンテンツ革命のため、「Spatial Streaming SDK」と「Mawari Network」 という2つのソリューションを提供する。