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2025.02.20 16:30

物流業界の真の課題「ファースト〜ミドルマイル」を解決する

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持続可能な業界へ

元々金融業界向けの業務効率化ソフトを提供していたシマントだが、こうした物流業界の課題解決にノウハウを活用できると考えピボット。データ統合管理システム(DMS)、配車管理システム(TMS)、請求支払管理システム(PMS)といった物流データプラットフォームを提供する。

ただ、シマントが考えているのは配送現場の効率化だけではない。「SaaSベンダーとしてシステムを売るだけではなく、持続可能な業界に変えるための枠組み構築のイネーブラーとなりたい」と和田が語るように、発注元企業や元請けとなる配送会社の企業間の連携の支援など、受発注の仕組み全体の変革をサポートしている。

「現場の改善が企業経営という大きな枠組みや業界の仕組みに結びつかないと本当の変革にはつながらないので、両方を同時に進めていくことが大事だと考えています」

そのため業界ごとのプラットフォーム構築に力をいれる。例えば24年3月からは、ネッツトヨタ熊本で同社のネットワーク内の自動車配送の効率化を目指す実証実験をスタート。この成果を県内の自動車ディーラーへ、さらには日本国内の自動車メーカーのすべてのディーラーへ拡大させ、地域を超えた「車両配送プラットフォーム」の構築を目指す。こうした動きを他業種、業界でも展開しながら、日本の物流全体のDXを推進していく。
 
シマントは24年7月、シリーズAで約2億円の資金調達を行い、25年にも事業全体を加速させるための資金調達を予定している。

「業界のキープレイヤーとなる企業数十社とアライアンスを構築できれば、景色は変わっていく。25年は、その流れを生み出す年にしたい」

※本記事は、12月24日発売のForbesJAPAN2月号「2025年総予測 トランプ後、世界はこう変わる!」特集内の記事の転載です。

和田 怜◎早稲田大学卒業後、みずほ銀行に入行。巨大組織でのシステム導入を阻む壁を経験する。同時に、日本の大企業は生産性を高めるために、データ活用とDX化を強力に推進すべきことを痛感。2014年にシマントを起業。

文=尾田健太郎

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