さらに、この分野にはTuSimple(トゥーシンプル)やEmbark(エンバーク)、Ike(アイク)、Starsky Robotics(スタースカイ・ロボティクス)などの一般レベルでほとんど知名度を獲得できずに消えた小規模な企業も存在する。
そんな中、数少ない成功を収めている企業がアルファベット傘下のWaymo(ウェイモ)といえる。同社は、サンフランシスコやロサンゼルス、フェニックスでロボタクシーを展開しており、オースティンやアトランタ、マイアミへの拡大を計画中だ。同社の収益は昨年、推定1億ドル(約156億円)を超え、2025年にはさらに大幅に収益を伸ばす見通しだ。
そして、この分野にはAurora Innovation(オーロラ・イノベーション)という企業もある。2017年にグーグル、テスラ、ウーバー出身の自動運転技術の専門家3名によって設立された同社は、米国で唯一の上場を果たした自動運転車に特化した企業だが、完全自動運転の物流トラックサービスの開始を2度延期している。しかし、オーロラの共同創業者でCEOのクリス・アームソンは、これ以上の遅延はないと断言しており、今年の春にはウェイモのような商業的成功の道に乗れると述べている。
古巣のグーグルでウェイモの前進となる自動運転部門を率いていた彼は、オーロラが4月にダラスとヒューストン間を結ぶ自動運転の大型トラックの運行を開始すると述べている。同社はその後、規模を拡大し、年内にエルパソとフォートワースを結ぶルートを含め、「数十台」のトラックを稼働させる計画という。
時価総額は1.8兆円
オーロラの技術の商業化は、あえてゆっくり進められる予定で、仮に順調に進んだとしても117億ドル(約1兆8200 億円)の時価総額を正当化できるのは、数年先になる見通しだ。10億ドル(約1560億円)以上の資金を保有する同社は、競合他社を葬ったような財務上の問題を抱えていないが、黒字化の時期やその達成の可能性は依然として不透明だ。「世界の輸送業界は巨大で、数兆ドル(数百兆円)規模という魅力的な市場だが、利益率が低い業界でもある。トラック業界は非常に分裂しており、関係構築に多くの労力を要する」と、モビリティ分野のアナリストのアリスン・マレクは述べている。