マーケット

2025.02.03 10:00

【米国株ウォッチ】期待外れのボーイングQ4決算、それでも生産面は改善か

Mario Tama/Getty Images

Mario Tama/Getty Images

先日、ボーイング(ティッカーシンボル:BA)は第4四半期(Q4)決算を発表し、収益と利益がそれぞれ市場予想を下回った。市場予想は、収益が162億ドル(約2兆5100億円)、EPS(1株あたりの純利益)がマイナス3.00ドルだったのに対し、実際の収益は152億ドル(約2兆3500億円)、EPSはマイナス5.90ドルだった。しかし、ボーイング737の生産見通しは楽観的であり、そのことが決算後にボーイング株が1.5%上昇した要因だと考えられる。

2024年初頭から米国記事執筆現在までのボーイング株のリターンはマイナス32%で、同期間に27%上昇したS&P500種株価指数のリターンを大幅に下回っている。

ボーイングのQ4決算を解説

ボーイングのQ4決算における収益は、前年同期比31%減の152億ドル(約2兆3500億円)だった。生産部門のストライキもあり、Q4に納入した航空機は57機で、前年同期比64%の減少となった。

セグメント別の業績も見てみよう。「民間航空機(BCA)」部門の収益は前年同期比55%減、「防衛・宇宙・セキュリティ(BDS)」部門の収益は同20%減、「グローバルサービス(BGS)」部門の収益は同6%増だった。同社のビジネスにかかるコストは上昇を続けており、営業利益率は前年同期が0.4%だったのに対し、当四半期はマイナス26.5%へと急落した。減収と利益率の大幅な低下により、EPSは前年同期のマイナス0.47ドルに対し、当四半期はマイナス5.90ドルとなった。

Q4決算は期待外れのものとなったが、ボーイングの経営陣は今年後半の生産活動について楽観的な見通しを示した。ボーイングは国際機械工・航空宇宙労働組合(IAM)との協定をまとめ、航空機の生産を再開した。連邦航空局(FAA)は現在、同社の生産量に月産38機の上限を設けているが、同社はこの上限を撤廃するためにFAAと交渉中だ。FAAは前四半期に、同社の安全管理システムと生産プロセスの評価を実施した。その結果、FAAはその大幅な改善を指摘している。現状のところ、月産38機の生産目標は今年後半にも達成できる見込みだ。これは私たちの予想よりも早く、投資家にとっては良いニュースである。

ボーイングの目標株価は?

ボーイングの株価は、2023年後半につけた260ドル以上の水準から、米国記事執筆現在、180ドル以下まで急降下している。もう少し長い期間を見ても、過去4年間におけるボーイング株の年間リターンは、S&P500よりも不安定だ。ボーイング株の年間リターンは、2021年にマイナス6%、2022年にマイナス5%、2023年に37%、2024年にマイナス32%だった。

私たちは近日中にボーイングの最新決算を反映した目標株価を更新する予定だ。しかし、同社の生産活動が回復中であることを考慮すると、その株価には上昇余地があると思われる。現在の約180ドルという水準で計算すると、ボーイング株の株価売上高倍率は1.6倍となる。これは、過去5年間の平均値である1.9倍よりも低い水準だ。

2025年はボーイングにとって、品質管理と効率改善に注力し、力強く前進する年になると私たちは考えている。これらの施策によってFAAによる生産制限の上限も引き上げられ、来年にも黒字化する道筋が見えてくることだろう。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事