テスラの第4四半期における収益は、前年同期比2%増の257億700万ドル(約4兆円)で、調整後のEPS(1株あたりの純利益)は73セントだった。これらの数値はともに、ファクトセットがまとめたアナリストの市場予測(収益273億ドル、EPS0.77ドル)を大きく下回った。
この決算発表により、テスラの厳しい1年が確定した。2024年の調整後純利益は84億ドル(約1兆3000億円)で、前年からは23%減、2022年に記録した過去最高益の125億9000万ドル(約1兆9430億円)からは34%減となった。一方、年間収益は前年を1%上回る977億ドル(約15兆円)に達した。
しかし、テスラは決算資料で2025年には「主力の自動車事業が成長を取り戻す」との見通しを示した。また、同社はサイバーキャブの量産を2026年から開始し、2025年前半には低価格帯の新型車を生産し始めると発表した。
テスラの株価は、決算発表を受けた時間外取引で一時5%急落した後に上昇に転じ、米東部時間午後4時過ぎに約3%高となった。投資家の心理は、第4四半期の厳しい業績と、前向きな生産計画の間で揺れ動いたと見られている。
マスクは昨年1月の決算説明会で、同社の利益減少が「2つの大きな成長の波の間にある状態だ」と説明し、ウォール街のアナリストもこの見方に同意していた。
今月初め、テスラは2024年の世界販売台数が前年比1.1%減の179万台だったと発表した。年間販売台数が前年割れとなるのは初めてだった。しかし、同社の株価はそれにもかかわらず上昇を続け、ここ1年で2倍以上に上昇している。
テスラ株の上昇の背景には、開発中のサイバーキャブや人型ロボット「オプティマス」などの人工知能(AI)関連技術への期待の高まりが挙げられる。また、同社の株価の上昇は、米大統領選におけるトランプの勝利にも後押しされており、昨年11月の投票日以降に50%以上上昇している。
アナリストによれば、マスクが緊密な関係を持つトランプの新政権下では、規制緩和がテスラにとって追い風となる可能性が高い。その一方で、マスクは右派的な言動で度々物議を醸しており、特に就任式でのジェスチャーがナチス式の敬礼と解釈され、大きな批判を浴びた。
今後注目されるのは、マスクが投資家の懸念にどのように対処していくかだ。テスラの株主からの質問を受け付けるフォーラムには、マスクに関する100件以上の質問が寄せられており、その中には、「マスクのホワイトハウスでの役割がテスラの業務にどの程度影響しているのか」、「マスクの発言が原因でテスラの売上に悪影響が出たのではないか」といったものが含まれている。
(forbes.com 原文)