2024年初頭から米国記事執筆現在までのジョンソン・エンド・ジョンソン株のリターンはマイナス4%で、同期間に28%上昇したS&P500種株価指数をアンダーパフォームしている。同社のトップセラー医薬品のひとつがバイオシミラー(バイオ後続品)との激しい競争に直面しており、これが株価の足枷となっているようだ。
先述したように、ジョンソン・エンド・ジョンソンの第4四半期の収益は、前年同期比5.3%増の225億ドル(約3兆5000億円)だった。部門別の収益では、「Innovative Medicine(医薬品)」部門が4.4%増、「MedTech(医療機器)」部門が6.7%増となった。医薬品売上高の伸びを牽引したのは引き続きダラザレックスであり、同薬品の売上高は前年同期比21%増となった。また、比較的新しい医薬品であるErleada(アーリーダ)とSpravato(スプラバート)は引き続き2桁の伸びを示した。一方で、Stelara(ステラーラ)の売上高は前年同期比15%減の23億ドル(約3600億円)となっている。バイオシミラーとの激しい競争にさらされるステラーラは、今後数年間で大幅に売上が減少することが予想される。MedTech部門の売上増は、昨年5月のショックウェーブ・メディカル買収や、循環器関連製品の売上高が前年同期比24%増の21億ドル(約3300億円)となったことが主な要因だ。
売上総利益率は前年同期と比べ1.8ポイント改善の68.3%となり、調整後のEPSは2.04ドル(前年同期は2.29ドル)となった。ブイウェーブ買収にかかる費用によりEPSは0.22ドル引き下げられた。
今後の業績見通しとして、ジョンソン・エンド・ジョンソンは、2025年度の収益を915億ドル(約14兆2500億円)、調整後のEPSを10.85ドルとした。これは、それぞれ910億ドル(約14兆1700億円)、10.56ドルという市場予想よりも良い結果だった。
ジョンソン・エンド・ジョンソンは明るい四半期決算を発表したが、株価は決算発表後も上昇していない。もう少し長い期間で見ても、過去数年間におけるジョンソン・エンド・ジョンソン株のパフォーマンスは、市場全体の動きと比べかなり不安定だ。
私たちは、ジョンソン・エンド・ジョンソン株には上昇の余地があると考えている。米国記事執筆現在の株価で計算すると、ジョンソン・エンド・ジョンソン株の株価収益率(PER)は13倍だ。これは過去5年間の平均値である17倍よりも低く、それだけ割安であることを示している。
(forbes.com原文)