2024年初頭からのS&P500種株価指数の上昇率は約27%である一方、3M株は同期間で約66%の上昇を記録しており、市場全体をアウトパフォームしている。同社は2024年4月1日、予定していたヘルスケア事業の分社化を完了し、分社された事業はソルベンタムという名の独立企業となった。この動きは同社にとって概ねプラスと見なされ、昨年の株価を押し上げた。
第4四半期決算の収益は58億ドル(約9066億円)で、前年同期比2.2%の増収となった。部門別で見ると、運輸・エレクトロニクス部門の収益は1.1%増、安全・産業部門の収益は1.6%増、コンシューマー部門の収益は0.2%増であった。サプライチェーンの混乱、高インフレ、ドル高により、3Mの収益はこのところ伸び悩んでいる。コンシューマー部門も、ホームセンター向けの製品、自動車整備関連品などの需要減少により逆風に直面している。しかし、第4四半期の収益はそれでもプラス成長を維持し、2025年度の業績見通しでも収益は増加することが見込まれている。
第4四半期決算における調整後EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)ベースでの利益率は、前年同期と比べて0.7ポイント悪化し、24.5%となった。その結果、調整後のEPSは1.68ドルとなり、前年同期と比べて減少した。今後の見通しとして、3Mは2025年度通期決算における調整後の既存事業収益が3%増、調整後のEPSが7.60ドルから7.90ドルの範囲になると予想している。それに対し、事前の市場予想では、収益が1桁台パーセント前半の減少、EPSは7.78ドルとされていた。
3M株は、市場予想を上回る決算と業績見通しを発表した後に約4%の急伸を見せた。しかし、もう少し長い期間を見てみると、過去4年間における3M株の上昇は一貫しているとは言い難く、その年間リターンはS&P500よりも不安定である。同株式の年間リターンは、2021年に5%、2022年にマイナス30%、2023年にマイナス3%、2024年に46%であった。
私たちは今回発表された決算と業績見通しを基に再度目標株価を算出し直す予定であるが、今のところ、3M株にはほとんど上昇余地が残されていないように思われる。米国記事執筆現在の株価である147ドルという水準は、2025年度の予想利益の19倍にあたり、これは過去5年間の平均である17倍よりも高い。総じて、3Mは堅調な第4四半期決算を発表したものの、その後の株価上昇により、3M株は適切な価格水準になったと考えている。
(forbes.com原文)