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2025.02.25 11:00

利益ではなく人 地銀系キャピタル会社がスタートアップに投資する意味

提供:まん福HD

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かつてスシローのCOOとして、回転寿司売上日本一に押し上げた加藤智治。彼が次なるステージとして「食に特化した事業承継プラットフォーム」を軸に、2021年に立ち上げたのが、まん福ホールディングス(以下まん福HD)だ。注目されているのは、肉と魚の生産から加工、販売までのバリューチェーンを、M&Aによってグループ化するそのビジネスモデル。これを「共和国型」と名付け、加藤は最初に自身の出身地でもある熊本県に「熊本肉共和国」を立ち上げた。まん福へ2度の出資を行ったのが、肥後銀行グループの「肥銀キャピタル」だ。共和国型になったことで、どのようなシナジーが起こったのか、肥銀キャピタルの横山輝社長が語った。


──まん福HDに2022年と24年の二度にわたって出資をしていますが、その理由は?

横山: 2021年9月に牛肉や馬肉を扱い、直売所やオンラインショップも展開するさくらや食産を承継したあと、まん福HDは、熊本県内の大手企業からの紹介を受け、肥後銀行および肥銀キャピタルと繋がった。そこからのご縁で、22年の「オグラドルフィン」の承継時に最初の出資をしました。

九州の畜産農家の高齢化と後継者問題は深刻で、これまでM&Aでの解決を試みましたが、プラスのシナジー効果が出るようなマッチングはなかなか生まれてきませんでした。ところが、まん福HDのM&Aは、暖簾や雇用を守るだけではなく、売却せずに成長、発展させるロールアップ型です。実際業務の効率化や新たな販売戦略の打ち出しにより、成果を出していました。このスキームに可能性を見出し、24年に二度目の出資を実施。こうして「肉の大塚」を含めた3社による「熊本肉共和国」ができました。

確かにビジネスモデルに惹かれましたが、社長が加藤さんだからというのも大きな要因です。実行力を含め、この人ならやり遂げてくれると思わせる強い信念を持っていますし、その信念にまっすぐ向かう姿勢に、一緒にやらせてほしいと思いました。やはり経営者がどういう思いかということが、投資判断としては非常に重要な要素になります。
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text by Satoko Mashimo

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