──「熊本肉共和国」の設立によるシナジー効果をどのように感じていますか?
横山:まずオグラドルフィンが運営する「おぐらの唐揚」は、唐揚げの小売業ですが、印象に残るテレビCMを打ったことで、一気に認知度が上がりました。もともと人気商品で、私もよく買いに行くのですが、店内の活気が大きく変わりました。まん福HDの、高みを目指してさらなる成長を!という経営姿勢が、店の雰囲気も働く人間の意欲も変えたのでしょう。事業承継でうまくいかないのは、経営陣の意欲が伝わらず、現場のモチベーションが下がってしまうことが理由である場合が多いのです。得てして、単純に儲けが出ればいいという考えで承継しているケースです。まん福HDのモデルはまったく違います。企業として数字も伸びて、かつ従業員も喜んでいる。我々としても嬉しいです。
もうひとつはまん福HDのネットワークを活用することで、熊本県で飼育されている希少な銘柄牛「あか牛」を県外で販売することが可能になったことです。流通コストの面でも県外への販売は難しかったのですが、東京の有名料理店でつかってもらえるようになり、ブランド牛を守ると同時に広めてもらえていることはありがたいです。「あか牛」を扱う「肉の大塚」にしても、まん福HDが食のプロ集団であるということへの信頼感と安心感が大きいことも、スムーズに事業が進んでいる理由だと思います。
──今後どのようなことを一緒にやっていきたいと考えていますか?
横山:事業承継の問題ですが、共和国型になったことで、まん福から就任した一人の社長が1つの共和国全体を統括することで解決に至っています。肥後銀行本体も、事業承継課題解決に力を入れていますが、まん福HDに依頼することで問題解決に近づきますし、シナジー効果も生まれます。肥後銀行は、飲食業の開業を目指す人向きのワンストップサービスを提供する「創業開業プラットフォーム」を持っています。ここへの相談が増えているのですが、融資だけでなく、まん福HDのおかげで、地域の食材や商材の紹介もできるようになりました。今後は、肉に限らず、こちらも守るべき産業のひとつである熊本の米焼酎や日本酒なども、まん福HDのルートで提供できればと考えています。この先、海外展開も見据えた時、日本の食と酒はキラーコンテンツになり得ると確信しています。
我々地方銀行は、地域とまさに一蓮托生です。単純にキャピタルゲインを得るための投資ではなく、地域の発展と成長に資する企業と共に投資していきたいですし、投資したパートナーと共に地域を活性化するお手伝いをしたい。最後はやはり人です。「投資は人、企業も人」です。
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