がん罹患率が憂慮すべきペースで上昇している。米国がん協会のウェブサイトCancer.orgに掲載された
レポートによると、世界的に高齢化が進んでいるにもかかわらず、1995年から2020年にかけて3つの年齢層(50歳未満、50〜64歳、65歳以上)のうち、唯一50歳未満でがんの罹患率が上昇した。
同協会は、50歳未満で特に増加しつつあるのが大腸がんだと指摘している。この傾向については以前、大腸がんと診断され死亡する人の割合が増えているという記事を書いた。なぜ大腸がんが増加しているのか、はっきりとした因果関係は1つではないが、多くの科学文献では超加工食品の消費量の増加と強いつながりがあることが指摘されている。具体的には、1950年代以降に生まれた世代でライフスタイルが大きく変わり始めたと科学者たちは指摘している。そのライフスタイルとは、活動量が減る一方で、座りっぱなしの仕事や加工食品の消費、薬物の摂取や喫煙が増えるというものだ。
さらに、時期を同じくして平均的な体脂肪率や肥満率も上昇し始めた。男性のがん患者の約5%、女性のがん患者の約10%が過体重であることが
研究でたびたび指摘されている。内臓脂肪が過剰に蓄積されると厄介だ。というのも、炎症や細胞の代謝の増加につながり、またホルモンの分泌にも影響を与えるため、がんにつながる異常な細胞を増加させる可能性があるためだ。
米テキサス州ヒューストンにあるMDアンダーソンがんセンターの行動科学教授であるカレン・ベイスン・エンキスト博士は「過剰な内臓脂肪は体内の特定のプロセスに影響を及ぼすことがある。これには、インスリンやエストロゲンのようなホルモンのコントロールも含まれる。これらすべてが細胞の分裂や死滅の方法やタイミングに影響を与えることで、がんリスクの上昇につながる可能性がある」と
説明する。