つまり、たばこを1日10本吸う喫煙者が1週間禁煙した場合、寿命が丸1日延びるという計算になる。喫煙者が元日に禁煙を開始して1年間継続すれば、50日分の寿命を取り戻すことができるというわけだ。
米国ではここ数十年で、特に若者の間で喫煙率が大幅に低下した。だが、米肺協会(ALA)によると、依然として成人の11.6%が喫煙しており、若年層でも喫煙率は3.8%に上る。喫煙率の低下した現在でも、たばこが原因で死亡する米国人は年間数十万人に上るとみられている。米国では約1600万人が、喫煙が原因で引き起こされる病気に1つ以上罹患(りかん)していると推定されている。
英研究者が2025年こそは禁煙をと呼びかけ
たばこは高血圧や心臓病から、肺がんや呼吸障害、脳卒中に至るまで、数多くの深刻な健康問題を引き起こす。今回の研究を行った英ロンドン大学(UCL)のアルコール・たばこ研究グループのサラ・ジャクソン主席研究員は「喫煙がいかに有害か、そして禁煙がいかに健康と寿命を向上させるのかを理解することが重要だ」と強調。「禁煙の開始が早いほど、その分長生きできる。たとえ何歳であろうと、禁煙することによって健康が大幅に改善し、その効果はすぐにでも現れる」と助言した。その上で、喫煙は予防可能な死亡の主な原因であり、2025年こそは禁煙について考えてみるよう、人々に呼びかけた。
また、今回の研究には参加していない英国民保健サービス(NHS)のサラ・ジャービス医師も、国民に警鐘を鳴らした。「総合診療医として、私は喫煙が健康に及ぼす計り知れない影響を日々目の当たりにしている。喫煙は寿命を縮めるだけでなく、生活の質も低下させる。たばこを1本吸うごとに、心臓病や脳卒中、2型糖尿病、認知症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、数多くの病気のリスクが著しく高まる」