毒ヘビは庭や地下室に頻繁に出没し、時にはキッチンにまで姿を現すため、どんなリスクがあるのかを理解しておくことが何よりも重要だ。毒ヘビ咬傷で命を落とす人は毎年世界で数万人に上るが、医療機関の受診の遅れや知識の欠如が原因であることも多い。
家のまわりで遭遇する可能性がある毒ヘビは多いが、ここでは世界の3地域において、最大級の警戒が必要な種を紹介しよう。危険性と、ヒトの住環境で接しやすいことが、彼らに警戒が必要な理由だ。
1. イースタンブラウンスネーク(分布域:オーストラリア)
世界屈指の猛毒ヘビの1つとして知られるイースタンブラウンスネーク(学名:Pseudonaja textilis)は、隠密行動に長けた危険な種だ。オーストラリアとニューギニアに分布し、草原や疎林を好むが、洗濯機の中から見つかったこともある。スレンダーな褐色の体をもつイースタンブラウンスネークは、容易に背景に溶け込み、裏庭やガレージの招かれざる客となることがある。イースタンブラウンスネークの毒は、神経毒、出血毒、心臓毒が混合された強力なカクテルであることが、2015年12月に学術誌『Toxicon』に掲載された論文で報告されている。
一度の咬傷で麻痺、内出血、心不全を引き起こすおそれがあり、オーストラリアでの毒ヘビ咬傷による死者数では、この種が最多を占める。致死的な毒をもつものの、このヘビは、刺激されないかぎり攻撃に出ることはない。

イースタンブラウンスネークは、驚異的なスピードと敏捷性でも知られている。脅威を感じると、S字型に体を曲げ、すばやい連続攻撃を繰り出すことがある。