2. インドアマガサヘビ(分布域:インド亜大陸)
南アジアの住民にとって、夜行性の捕食者であるインドアマガサヘビ(学名:Bungarus caeruleus)は、無防備な人間に重大な危険をもたらす存在だ。インド亜大陸に分布するこのヘビは、黒地に白の縞模様という目を引く外見をしており、無毒の種と誤解されやすい。しかし、インドアマガサヘビの咬傷は無害とは程遠い。
アマガサヘビの毒は神経毒主体で、筋肉の麻痺や呼吸不全を引き起こし、重篤な場合は死に至る。このヘビのとりわけ危険な点は、咬傷そのものは軽いことだ。痛みがないことが多いため、数時間後に症状が現れるまで気づかない。
このように時間差で症状が現れるため、すぐに医療機関を受診しなかったことで死に至ることが珍しくない。
インドアマガサヘビは、住宅地付近でよく見られる。齧歯類やカエルといった、豊富に生息する小型の獲物に引かれてやってくるのだ。
このヘビは、靴の中や家具の下、ベッドの中に隠れることで知られ、夜間の遭遇は特に危険だ。インドアマガサヘビのユニークな特徴の1つが温和な性質で、刺激されないかぎりほとんど咬むことはない。しかし、家のまわりや中に侵入するため、分布域に暮らしている人々にとっては、見えない脅威といえる。
こうした理由から、インドアマガサヘビはインドで最も咬傷死者の多い4種の毒ヘビ、いわゆるインドの「ビッグ4」の1つに挙げられる。
アマガサヘビとの遭遇リスクを最小限に抑えるには、生活空間の隙間を埋め、散らかったものを片付け、夜間の警戒を怠らないことが大切だ。また、特徴的な縞模様を覚えておくことで、不要なパニックや種同定の間違いを避けられる。


