世界最大のベンガルボダイジュ(別名バンヤンツリー)である「ティマンマ・マリマヌ」は、植物学における驚異であるとともに、文化的・精神的・生態学的にも意義深い存在だ。
世界最大の樹冠面積をもつ1本の樹として、1989年にギネス世界記録に認定されたティマンマ・マリマヌは、この種の並外れた生命力を証明している。この種は、特異な成長様式を通じて、広大な土地を覆いつくす能力があるのだ。
比類のない樹冠面積
ティマンマ・マリマヌの真のスケールを実感するために、どこまでも広がるその樹冠の下を歩くところを想像してみよう。被覆面積は約2万平方メートルに及ぶ。これは、アメリカンフットボールのフィールド4面分を合わせた広さにほぼ匹敵する。比較のためにいうと、カリフォルニアに自生する世界最大の1本の幹からなる巨木である「シャーマン将軍の木」でも、樹冠の被覆面積は1487平方メートルにすぎない。シャーマン将軍の木は約84mの樹高で見る者を圧倒するが、ティマンマ・マリマヌの強みは水平方向への成長であり、これはベンガルボダイジュに固有の特徴だ。

ただし、パンドと違うのは、この巨大な樹は、絡みあう気根のネットワークを利用して拡大することだ。枝から垂れ下がった気根は、地面に根を下ろすと新たな幹を形成する。これらはすべて同じ個体の一部なのだ。
これらの気根が足場として機能し、樹は安定を保ったまま水平方向に広がる。こうした驚異的な適応により、この樹は過酷な気候条件の下で生き延び、繁栄してきた。
この樹は、並外れた巨大さのおかげで、インド文化において、忍耐と相互関係の象徴となった。しかしそこには、伝説とタブーに彩られた不穏な側面もある。