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2025.01.16 12:30

日本のispaceが月着陸機の打ち上げに成功 4〜5カ月後の月面着陸に再び挑む

ロケットの第2段から分離されたレジリエンス(c)SpaceX

また、このミッションでispaceは、「月保険」の契約を三井住友海上火災保険(MSI)と交わしているが、今回は第二号案件となる。同保険は月ミッションに臨む民間企業を持続的に支えることを目的に、ispaceとMSIが共同で開発したものであり、今回の保険金額は21億6084万円。その適応期間は打ち上げにはじまり、高度100kmの月周回円軌道に投入されたことが確認されるまでとされる。

なぜ月到達まで4~5カ月かかるのか?

レジリエンスの軌道概念図。まずは地球周回フェーズで約1カ月を過ごす。その軌道上で月に出会うが、相対速度が大きく異なるため月周回軌道に入ることができない。そのため月フライバイを行い遷移フェーズに入り、数ヵ月かけて月周回軌道に入る(c)Yoshio Suzuki

レジリエンスの軌道概念図。まずは地球周回フェーズで約1カ月を過ごす。その軌道上で月に出会うが、相対速度が大きく異なるため月周回軌道に入ることができない。そのため月フライバイを行い遷移フェーズに入り、数ヵ月かけて月周回軌道に入る(c)Yoshio Suzuki

レジリエンスが月に到達するまでに4~5ヵ月かかるのは、低エネルギー遷移軌道という特殊な軌道に投入されるためだ。

ロケットから分離されたレジリエンスは現在、地球周回軌道を航行している(地球軌道フェーズ)。それは長楕円軌道と呼ばれるもので、地球からもっとも離れるポイント(遠地点)では、月の公転軌道よりも遠方に達する。その軌道を1ヵ月ほど航行する間に月が近づくのを待ち、月に出会うとその重力を利用して軌道を変更し(月フライバイ)、低エネルギー遷移軌道に入る(遷移フェーズ)。

その軌道はさらに大きな楕円を描きながら、月と地球の距離(平均38万4400km)よりも2.6倍ほど遠いポイント(地球から100万km)に到達するが、地球と月、そして太陽の重力によってレジリエンスは引き戻される。その帰り道で機体は再び月に出会い、その重力に捕らえられて月周回軌道に入る。

ロケットの力だけで月への最短距離を飛べば3~4日で月に到達するが、それには膨大なパワーが必要であり、推進剤を多く搭載することになる。しかし、月の重力を機体の推進力として利用するこの低エネルギー遷移軌道をたどれば、時間はかかるものの、少量かつ軽量な推進剤で月に到達できるため、その分、より重いペイロードを月へ運ぶことができる。

編集=安井克至

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