イエス・キリストの生誕を告げたとされる「
ベツレヘムの星」の正体は何か、というのは天文学界で熱い議論の的となってきたテーマだ。今週の夜空を見た人が、それは惑星だと主張したとしても無理はないだろう。今、空には3つの非常に明るい星があるからだ。日没後の南西の空に金星が、すっかり暗くなってからは木星と火星が、いずれも最大に近い明るさで輝いている。
クリスマス気分を盛り上げてくれる惑星の観察だけでなく、月は今週も星たちとの美しい共演を見せてくれる。冬至を迎えると、こぐま座流星群が天を駆ける。
12月第3週の夜空の見どころについてまとめた。
12月18日(水):月が火星に接近
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米航空宇宙局(NASA)のデータに基づく火星の画像(Shutterstock.com)
火星は来年1月12日に地球に最接近し、同17日には26カ月ぶりに地球をはさんで太陽とちょうど正反対の位置関係にくる「衝」となるため、今は非常に明るさを増し、はっきりと赤く見える。欠けはじめた月のすぐ上に、火星が月明かりに埋もれることなく赤く輝く様子は、とても美しい光景だ。
12月18日(水):クリスマス・イルミネーション
寝る前に外に出て東の空を見上げてみよう。4つの光が並んで見えるはずだ。月の右上に赤く輝く火星、さらにその上方に、ふたご座のポルックスとカストルが仲良く光っている。天頂へと向かうにつれて明るさを減じながら、やや弧を描くように並ぶ光の列は、まるでクリスマスのイルミネーションのように見えるだろう。
12月20日(金):月とレグルスが接近
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しし座。前足の付け根にひときわ明るく輝いているのが1等星レグルス(Shutterstock.com)
夜遅くに昇り、早朝にかけて夜空をめぐる1等星レグルスは、しし座で最も明るい星だ。この夜は、少しふっくらした半月に寄り添うように輝く。
12月21日(土):冬至
日本標準時の午後18時21分、太陽の軌道は南回帰線に到達する。南回帰線とは、太陽が真上(南中高度90度)を通過する最南端の緯度に引かれた線だ。北半球では天文学上の冬の始まりを告げる日であり、昼間の太陽の高さが1年で最も低く、夜が1年で最も長い。